そんなランクルの歴史を振り返ると大きく3つの系統に分かれる。ランクルの根底とも言える「ヘビーデューティ系」は1951年に登場したランドクルーザーの原点「トヨタ・ジープBJ型」で、初めてランクルの名を冠した20系から40系、70系へと受け継がれる。レジャー用ではなくワークホースとして開発されたモデルで、単純構造で必要最小限の機能/装備ではあるが、タフな走りを身上とする系統と言えるだろう。
北米を中心とした4駆のレジャー用途に合わせ、40系から派生したのが「ステーションワゴン系」だ。1967年のランクル55系から60系、80系、100系、200系とランクルの伝統であるオフロード性能を損なわずにプレステージ性を引き上げたモデルに成長。世界的にも「King of 4WD」と認められている。
そして、日本での1980~1990年代に起きたSUVブーム(当時はRVブームと言っていた)の時期に、「もう少し気軽に4駆を……」というニーズに応え、70系から派生したのが「ライトデューティ系」だ。70系にラインナップした“ワゴン”をルーツに、1990年に70系ベースで乗用車ライクに仕立てた「ランドクルーザー プラド」が登場。90系からは独立したモデルとなり、120系、150系と進化している。
300系は14年ぶりにフルモデルチェンジ
さまざまな用途やニーズに合わせ進化をしてきたランクルシリーズだが、現在日本ではステーション系は300系、ライトデューティ系は150系プラドが発売されている。300系は今年14年ぶりにフルモデルチェンジ。豊田社長も「ロングセラーだからこそ、変わらなければならない」「次世代に向けて生き残る必要がある」と語るようにすべてを刷新した。
300系の開発は「ミスター・ランクル」と呼ばれる小鑓貞嘉氏からバトンを受け継いだ、若き40代のチーフエンジニア・横尾貴己氏が担当するが、氏は300系についてこう語る。
「300系を開発するにあたり掲げたのは『世代が変わってもランクルでなければいけない』でした。ランクルのキーワードは『耐久』『信頼』『悪路走破性』ですが、それゆえにほかの部分に課題があったのも事実です。さらにより厳しくなる環境規制や衝突要件も対応する必要があります。それらをすべてクリアするために300系が選んだ道は『素性の刷新』でした」
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