ジープ「新型コンパス」が負う日本での重大任務 戦略的価格で登場したマイナーチェンジの狙い
FCAジャパンは2021年6月2日、ラングラーの1つ下の価格帯に位置するコンパクトSUV「コンパス」のマイナーチェンジを発表した。内外装のデザイン変更や安全・快適装備の充実が主な変更点で、発売は6月26日。
発表はオンラインで行われたが、そこでジープの好調ぶりが伝えられた。ジープの輸入元であるFCAジャパンは、2020年10月~2021年4月の7カ月間、コロナ禍においても販売最高記録を塗り替え続けているという。
その結果、2021年の1月~4月の輸入車シェアの10.1%を獲得。同4カ月でFCAジャパンが販売した新車台数は8604台だったが、これは過去最高を記録した2019年を24%も上回っている。“Before コロナ”の2019年との比較で、これだけ上回っているとは驚きだ。
FCAジャパン代表取締役社長兼CEOであるポンタス・ヘグストロム氏は、この結果について次のように振り返る。
「弊社が擁する全ブランドが伸びてはいるものの、この快進撃の主たる要因はジープの好調にあります。というのも、弊社の販売総数の半分以上をジープが占めているからです。この勢いは、元をたどれば私たちが2015年に決断した戦略の成果です。その決断とは、ここ日本において世界に先駆けてジープ専業のディーラー網を構築することでした」
その言葉どおり、2011年頃までのジープは、オフロード愛好家向けのニッチなアメリカンブランドにほかならなかった。それが2012年に約5000台を販売し、2017年には1万台を突破するなど、右肩上がりの急成長を見せている。
この快進撃の裏には、ディーラーの仕組みを刷新したことにより、さらにプレミアムで洗練された憧れのブランドへとイメージ転換を図る戦略があったのだ。
グランドチェロキーのデザイン思想を継承
そんなジープの中でも、主力モデルの1つとなる「コンパス」は、コンパクトSUV人気の急騰に先駆けて2012年に誕生し、ジープの伝統である高いオフロード性能と都会的なデザインで、独自のポジションを切り開いたモデルである。現行モデルは、2017年に登場した2代目だ。
デザインは、基本構成こそ大きく変わっていないが、今年初めにアメリカで発表された新型「グランドチェロキー」で採用された新たなデザイン思想が散りばめられる。ジープブランド車に共通するアイコンである“セブンスロットグリル”の下には、車幅いっぱいに広がる直線的な開口部が設けられたのも、その1つだ。
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