世界的歌手「ブリトニー」が引退危機にある理由 育児放棄に丸刈り、精神病棟…彼女の驚愕人生

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ブリトニーは2人の子供をおいて、パリス・ヒルトンやリンジー・ローハンなどのセレブと毎晩遊び歩くようになり、ますます「ダメな母親」の烙印を押されてしまう。

決定的だったのは、丸刈り事件である。違法ドラッグやアルコールの依存症で更生施設に入った彼女は、退所した直後にヘアサロンに立ち寄り、自身の手で髪を剃り落とした。

ついには精神病棟送りに

その直後に、今度はパパラッチの車を傘で叩きまくる事件も起こす。世間は彼女をすっかり狂人扱いするようになった。その結果、親権をフェダーラインに取られてしまう。

そして子供たちと面会をしたある日、約束の時間がきても子供を返すことを拒否。現場にやってきた警察が彼女の精神状態に疑いを抱いたため、精神病棟に送り込まれる。

さて、これまで鳴りを潜めていた父ジェイミーが現れるのはここからだ。彼は娘に「成年後見人」をつけることを裁判所に願い出る。

成年後見人は、通常、認知症などを患った高齢者につけられるもので、自立した28歳女性につけられることは非常に稀。しかも、なぜか異例の早さで認められ、ブリトニー本人が意見する暇もなかった。以来、彼女は資産担当の後見人と、生活面担当の後見人がつけられている。

当初両方に名を連ねていた父ジェイミーだが、近年は体調を理由に生活面のほうは辞退。資金面については、ブリトニーが父でなくベシマー・トラストという資産管理会社に後見人を任せたいと願い出たものの、判事は父を除名することなく両者に任せることを決めた。

ところが冒頭のブリトニーの供述を受け、ベシマー・トラストは今月に入って後見人を辞退。大騒ぎになってしまったため、もう関わりたくないのが理由のようだ。

さらに2008年から彼女の弁護士を務めてきたサム・イングラムも先の供述を理由に辞任を決めた。ブリトニーは「後見人制度から脱却する方法があると教えてもらえなかった」と言ったが、彼は、脱却したいなら裁判所に嘆願できると以前から伝えていたとのこと。事実と違う供述内容に、憤慨したようである。

また、ブリトニーの供述で最もショッキングだった「再婚したいのにさせてもらない」「もっと子供が欲しいのに子宮内に避妊具を入れさせられている」という部分にも、生活面の後見人であるモンゴメリーは「私はいつもブリトニーの意思を尊重してきている」と否定している。

それでもブリトニーが苦しみの渦中にいることは疑いない。ファンが望むのは、彼女が解放されることだ。次の聴聞は今月14日に行われる予定。裁判所前にはまた「#FreeBritney」のプラカードを掲げたファンが集まることだろう。

ブリトニー解放を望むファンたち(写真:Rich Fury/Getty)

ファンが求めるのは、まず正しいことがなされること。そして、ブリトニーが歌手として再び表舞台に出ることだ。このままなし崩しに引退となるのは、誰が見てもあまりにも無念だ。これからの展開が注視される。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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