型破りのコーチング 平尾誠二・金井壽宏著

型破りのコーチング 平尾誠二・金井壽宏著

人は何のために指導を望むのかといえば、「育つため」である。ビジネスシーンにおいては、職業・職域に通用する専門のスキルやメンタリティを育てるためである。

このような要望に応える相談援助活動にコーチングがある。これまで「相談」の主役はカウンセリングであった。広義のカウンセリングが社会生活の各種の専門的相談援助活動を指すのに対し、心理カウンセリングはクライアントがカウンセラーの援助で自己洞察や知見を導き出す活動である。主なツールは「会話・言語」だが、時には心理療法、癒やし(ヒーリング)や治療(セラピー)が行われる。

しかし、カウンセリングが人間関係や発達問題のニ−ズに主軸を据える余り、ビジネスシーンでのモチベーョンアップやスキルに関しては非力との反省がある。従来型のカウンセリングでは産業社会の課題に応えきれないため、目的に特化した手法が求められている。

産業社会の課題とは、個人のスキルとモチベーションアップ、リーダーシップの育成であり、コーチングはこの要請に合致した手法である。

元来、コーチングはスポーツの手法である。チ−ムを企業に、プレイヤーをビジネスパーソンに読み替えると理解しやすい。コーチングの「コーチ」は、指導を望んでいる人を目的地まで乗せていく「馬車」のこと。「伯楽」の故事「千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず」は、ビジネスシーンでは日常事。ビジネスの名手といえども、サクセスの成否は、名馬・コーチ・名伯楽との出会いにかかる。

本書の「型破り」ぶりを紹介する前に、関連分野の用語と概念を整理しておく。

コーチングは、モチベーションを重んじて個人の才能を伸ばし、自ら学習し育つ環境を作り出すことを目的とする相談援助活動のことである。支援者・相談員をコーチと呼び、専門的な相談援助行為を必要とする要請者(被支援者)をクライアントと称する。支援者と要請者の関係が、メンター制の師弟関係、親方・丁稚関係を想起させるが、上下関係を意味するものではない。

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