最後に、ファストフード大手のマクドナルドHDの平成26年12月期 第1四半期決算(2014年1〜3月)を分析します。
客離れが止まらないマクドナルド
損益計算書(7ページ参照)から業績を見ていきましょう。売上高は前の期より5.4%減の623億円。それに応じて売上原価も3.6%減少し、売上総利益は15.5%減の88億円となりました。販管費も微減し、営業利益は9.1%減の24億円となりました。なんとか黒字を確保していますが、業績の落ち込みが止まらないのです。
後ほど詳しく説明しますが、外食産業の市場自体は縮小しているわけではなく、2012年以降は拡大基調が続いています。それでもマクドナルドが苦戦し続けているのは、なぜでしょうか。
一つは、競争がし烈だからです。先ほど分析した牛丼チェーンやファミリーレストラン、うどんチェーンなどの、安めの価格帯で勝負している競合が新たな取り組みをする中で、マクドナルドの施策のアピール度が低く、これまでマクドナルドが抱えていた客層が分散されつつあるのです。特に、回転ずしチェーンや牛丼チェーンはファミリー層の獲得に積極的になっていますから、この層が奪われてしまっている可能性があります。
もう一つ、マクドナルドのメニュー自体がお客様に飽きられてしまっていることも考えられます。定期的に新メニューを発売していますが、業績を見る限り、吉野家の牛すき鍋膳のようにお客様に十分にアピールしていないように感じます。
マクドナルドの業績は、消費税増税後も落ち込みが続いています。6月の既存店売上高は、前年同月比8.0%減となり、5カ月連続で減少したと発表されました。同社の増税の対応は、原則的には増税3%分を価格に上乗せしましたが、レギュラーメニューであるハンバーガーの価格を120円から100円に、チーズバーガーを150円から133円に値下げしました。さらに、一部の商品を100円で提供する「100円マック」は据え置きとしました。
増税後も既存店売上高が減少し続けているところを見ますと、この対応は消費者にとってあまり魅力的ではなかったと言えます。また、3月に原田泳幸元CEOが退任し、新たにサラ・カサノバ氏が社長に就任しましたが、これらの数字を見る限り、いまのところは、まだ十分には成果が出ていないと言えます。
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