ゼンショー、吉野家、マクドナルドを分析する 消費税アップ後の外食産業の行方は?

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ただ、マクドナルドは財務内容という点では素晴らしい企業です。貸借対照表(5~6ページ参照)を見ると、自己資本比率は80.6%と驚異的な水準を維持していますし、純資産の大部分は、利益の蓄積である「利益剰余金」です。これまでいかに儲け続けていたかがわかりますね。

外食業界の先行きはどうなる?

今後、外食業界の業績はどのように推移するのでしょうか。ポイントは二つあります。

ひとつは、国内景気の動向です。外食業の業績は、景気に敏感に反応します。

外食産業市場規模(食の安全・安心財団調べ)と、私たちの給与の源泉である名目GDPを比較すると、ほぼ連動していることが分かりますね(上グラフ参照)。昨年から好景気が続いていますから、今期も外食業の市場は拡大すると予想されます。

ただ、好景気になりますと、人員が確保しにくくなり、労務費を上げざるを得なくなります。

そこで、価格設定や商品構成などを工夫し、いかに採算を上げて営業利益を確保していけるかが注目点です。

もう一つは、消費税増税の影響です。小売業販売額を調べますと、駆け込み需要の反動から、4月は前年比4.3%減、5月は同比0.4%減と落ち込みが続いています。

こうした増税の影響がどこまで続くのか、景気指標などを参考にして見極めることも大切です。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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