三菱電機、「35年不正」で社長辞任の懲りない体質 鉄道装置で不正が発覚、説明もコロコロ変わる
杉山社長は、「不十分な説明で株主に不安を与えるのはふさわしくない」と釈明。公表しないとする執行役の判断を「株主総会前日に取締役会の皆さんにもお諮りした」と説明した。しかし実際には取締役会は開催されていなかった。翌3日に広報部が社長発言を訂正する異例の事態となった。
ほかにも、架空のデータの生成について当初は「転用」と説明したものの、ねつ造ではないかと追及されるとあっさり認めるなど、問題を小さく見せようとする小手先の説明に終始した。
頻発する問題の根因
隠蔽ともいえる報告遅れや、問題の矮小化は以前からあった。
2019年6月には、パワー半導体で、5年近く出荷検査の不正が続いていたことが判明。しかし、問題の公表と顧客への説明は約8ヵ月後の2020年2月まで行われなかった。
同時期には、社内ネットワークが外部からのサイバー攻撃を受けたことも社内で確認。だが、公表したのは2020年1月だった。その際、防衛や電力、鉄道など社会インフラに関する機微な情報や機密性の高い技術情報は「流出していないことを確認済み」と説明したのに、2月には防衛装備品の研究試作に関する情報が流出した可能性があると発表。1カ月で説明が覆った。
頻発する品質問題や報告の混乱の根因として、事業部ごとの独立性が高く、事業間の連携がとりにくいことが指摘される。また、元社員は「失敗しても上司に相談できる環境ではなく、仕事のミスはそのまま引き継がれていた」と風通しの悪さを打ち明ける。こうした企業風土の中で、各工場への社長巡回も、内部通報制度も機能を果たせず、現場で起きていることを本社が把握できずにいた。
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