「ハイエース」のキャンピングカーが売れる理由 日産「キャラバン」との決定的な差はあるのか
では、なぜNV350キャラバンではなく、ハイエースを選ぶのか? これについて同社の担当者は、「十数年前には、キャラバンのユーザーもいましたが、今はほとんどいなくなりましたね。割合的にはハイエースが95%、キャラバンは0.5%くらいでしょうか」という。荷室が広く、内装をさまざまな仕様にしやすいハイエースは、キャンピングカーのベース車として昔から人気が高かったが、とくに2004年に発売された現行のH200系は著しく需要が伸びたそうだ。
理由のひとつは、同社担当者いわく「リセールバリューが高い」ことだ。キャンピングカーは、仕様によってベース車の新車2台ぶんに近い価格のものも多い。だが、一方で、中古車になると売却価格が落ちやすい傾向にある。そのため、次の買い替え時を考慮すると、中古車でもできるだけ高く売れるモデルのほうがいい。その点、ハイエースであれば、元々の中古車相場が高い。新車より高く売られている車両もあるほどだ。その傾向は、キャンピングカー仕様も同様で、値落ち幅が少なく、次のモデルを購入する際には十分な資金となることも多い。一方のNV350キャラバンでは、リセールバリュー面でハイエースに太刀打ちできないという。
また、メーカーとしても長年多くの需要があり、作り慣れているということもある。経験や技術に蓄積があり、ユーザーからの細かな要求にも応えやすい。そのため、ユーザーに自社製品をアピールする今回のショーなどでも、展示車にはおのずとハイエースがベースとなることが多いという。
ハイエースを数多く手掛ける「カトーモーター」
新潟県の「カトーモーター」も、ハイエースをベースとするキャンピングカーを数多く手掛けるメーカーのひとつだ。外装を変えないバンコンから本格仕様まで、数多くのモデルをラインナップしている。
例えば、今回ブース展示した「DD(ディーディー)」というモデルは、ハイエースのスーパーロング・ハイルーフ車をベースに、ダブルデル・スタイルという独自の架装方式を採用したセミ・キャブコンとよばれる仕様だ。純正の車体を活かしつつ、オリジナルのFRP製キャビンを架装した仕様で、高さ2100mm強、最大幅1800mm強という広い室内を実現する。
キッチンやベッドにもなるダイネットのほか、車体後部には大人2名が橫になれる1400mm×1900mmの常設ベッドと、その上段に600mm×1600mmのロフトチャイルドベッドも用意。車体前方上部にもバンクベッドと呼ばれる就寝スペースを確保することで、大人4名+子供1名がゆったりと就寝することができる。乗車定員は5~6名で、価格(税込)は、展示車の仕様で771万9800円だ。
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