SBIも巻き込まれた「太陽光ベンチャー」倒産の顛末 失われた「ソーシャルレンディング」への信頼

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こうしてテクノ社は2017年5月から2020年10月までに、バイオマス発電所・太陽光発電所・不動産案件などの名目で計383億円もの資金調達に成功。しかし、テクノ社が本来の借入使途以外に資金を使っていた疑いが今年2月までに発覚し、ついには資金調達の道をすべて絶たれた。

この間、取引先や金融機関への返済が滞り続け、テクノ社の信用は失墜。さらに5月末には、静岡県や福島県内での発電事業への融資名目で、地元信金や地銀から虚偽の書類を提出し、計11億円を詐取したとして生田社長ら3名が東京地検特捜部に逮捕されるに至った。

「テクノ社の教訓」を生かせるか

株式上場目前だった「急成長ベンチャー」で起きた今回の転落劇は、図らずもソーシャルレンディングというビジネスモデルそのものの難しさを世に知らしめた。ソーシャルレンディングは、少額投資・高利回りだが、元本保証ではない。融資先の情報開示も限定的なものにとどまる。

投資家は、高利回りにつられて高額な投資を募る大型プロジェクトや、事業性や担保価値が見づらい太陽光や再生可能エネルギーなどのハイリスク・ハイリターン案件に投資する場合、特に注意が必要だ。

そのため、信頼性が高い運営会社の利用が不可欠と言われてきたが、SBISLのような国内最大手かつ大手金融グループの子会社でこのようなことが起きてしまった。

今後、ソーシャルレンディングそのものへの信頼は回復することができるのか。投資家・金融機関双方で今回の事件を教訓にする必要があるだろう。

内藤 修 帝国データバンク 横浜支店情報部長

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ないとう おさむ / Osamu Naito

1977年、横浜市生まれ。2000年に同社入社。本社情報部、産業調査部、東京支社情報部を経て、2018年10月から現職。入社以来18年以上にわたって、企業取材、景気動向のマクロ分析とともに、注目業界の動向やトピックをまとめた『特別企画レポート』の作成を手がける。専門は、倒産動向分析、企業再生研究。

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