「シェアレストラン」は飲食店の救世主となるか バーを間借り「バインミー専門店」として営業
一方、貸している側の高橋氏が間貸しに求めているのは、第一に宣伝効果だという。
「昼間に違うコンテンツでお客様に来てもらうことで客層も広がります。また入ってくれるお店がSNSで宣伝しますから、それがまた当店の宣伝にもなるというわけです」(高橋氏)
そう話す高橋氏自身もSNSの宣伝には非常に力を入れており、毎日欠かさず投稿している。クラフトビールという絞られた客層に向けての商売であるだけに、広く知ってもらう必要があるためだ。実際、客の3〜4割は県外から訪れるビールファン。
「国内には300とも500とも言われる醸造所が存在しています。そして日に200〜300種類の期間限定を含めた新商品が発売される。その情報をSNSで流すことで、『今日サクラタップスであのビールが飲める』と、集まってくれるお客様がいらっしゃるわけです」(髙橋氏)
アフターコロナに向けてファンをつかんでおく
コロナ禍による厳しい状況もせいぜいあと1年ぐらいと考えており、その先のアフターコロナに向けてファンをつかんでおくことを重視している。
そのためより魅力的な間貸し相手に来てもらえるよう、賃料も相場より低く設定した。
というのも同店では他の飲食店と同様、コロナの影響を受け売り上げが落ちているとはいえ、スタッフもフルタイムが1人、パートが2〜3人と小規模な店で、店舗の維持費用や人件費は協力金と雇用調整などで何とかまかなえている。間貸しで得られる家賃収入のうち2割はシェアレストランに手数料として支払い、残りはアフターコロナに向けての投資に利用できるわけだ。
以上のように、開業間もない人や若者が利用しやすい、さらに経験値、宣伝効果などお金以外の価値向上を目指す、などシェアレストランの特徴が明らかになってきた。
最後にシェアレストラン代表取締役の武重準氏に、立ち上げの狙いや、コロナ禍での営業状況を聞いた。
まずシェアレストランの概要を説明しておくと、同社は吉野家ホールディングスの完全子会社。社内ベンチャーとして2018年よりテスト的に事業を開始、2020年3月より正式発足した。目的は、飲食店の廃業率低減と飲食業の活性化だ。
「飲食業は開業しても70%は3年以内につぶれると言われています。なぜかというと、資金があれば誰でも始められるから。しかしお客様がつくかどうかはまた別の話です。せっかく1000万、2000万を投資して始めたのに、なぜお客様が来ないのかわからないうちに廃業することになる。私はそのプロセスを逆にしたいと考えました。将来実店舗を持ちたい、ブランドをつくりたいという夢があるなら、最初は間借りしてお金をかけないでやってみる。そしてある程度の客筋をつかむことができたら自分の店を持つというふうに」(武重氏)
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