「シェアレストラン」は飲食店の救世主となるか バーを間借り「バインミー専門店」として営業
借り主の一方である、バインミー専門店「バインミーV」にも話を聞いた。取材に対応してくれたのは賀来佳那さん。店主の賀来重宏氏の奥様だ。賀来氏は会社勤めで、佳那さんが月・火に店に出て、賀来氏は土・日を担当しているのだそうだ。
賀来氏がバインミーを知り、そのおいしさに衝撃を受けたのはカナダでのことだという。バインミーはベトナム発祥のサンドイッチだが、フランスパンにさまざまな具材を挟んだエキゾチックな味わいで、最近人気が上昇している食べ物。代々木上原のフレンチ、sioが販売し大ヒットしたことでも知られる。
「主人が家でもよく作っていたのですが、在宅ワーク中にどんどん上手になっていったんです。そのうち『多くの人に食べてもらいたい』という思いがどんどんふくらんできて、勤務先の了承も得て、2021年の3月からお店を始めました」(佳那さん)
最初は知人のツテを頼り、ベーカリーの営業中に間借りさせてもらうことに。
「ご好意で安い金額で場所を貸してはいただいたのですが、ベーカリーも営業中ということもありどうしても気を遣いながら営業していました。今は間にシェアレストランさんが入っていることもあり、高橋さんにもよくしていただいて伸び伸びと営業させてもらっています。SakuraTapsのお客さんも多く来てくださるのは間借りのいいところですね!」(佳那さん)
店を持つという夢を叶えるための小さな一歩
テイクアウト、デリバリー専門で営業時間は10時〜13時半(デリバリーは9時半から受け付け)。単価600〜750円のバインミーが平日に10個、週末に20〜30個という程度の売り上げだが、「将来、店を持つという夢を叶えるための小さな一歩」と前向きに捉えている。
「遠方から『バインミーが食べたくてきました!』という方もいれば、『初めてバインミー を食べるんです』という方もその後リピートしていただけたりと、今後に希望を感じています」(佳那さん)
このように、シェアレストランの大きなメリットとなっているのが、店舗の貸し主、借り主の間に別の存在が入ることにより、両者のコミュニケーションがやりやすくなることだ。
さらに、双方がお金、つまり家賃収入や売り上げを主要目的にしていないこともポイントである。実際、バインミーVでは売り上げは月にして20万円というところだろう。将来店を持つための資金を貯めるというよりは、ファンを増やす、経験値を上げるといった意味合いが強そうだ。
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