人気大物芸人が続々登場
公演スケジュールを見ると、想像以上に豪華な面々に驚く。毎日、ライブがあるのだが、特に土日の夜は、ピースやチュートリアル、ハリセンボンなど、テレビに出ている人気大物芸人が登場する。「会いに行ける芸人」だ。
しかし、新宿の「ルミネtheよしもと」などと違って、幕張まで行かないと会えない。おのずと平日の観客は周辺地域の住民が中心になり、土日にそれまでイオンモールに行ったことがない、大物芸人のファンがやって来るだろう。
「イオンモール幕張新都心の来客数は、昨年末の開業から2014年7月末までで約2000万人。年間目標は3000万~3500万人」(尾上さん)。目標の早期達成を吉本興業が牽引するはずだ。
地域の人が参加できるイベントを作りたい
さて、この取り組みは、吉本興業および芸人にとっては、どのような狙いがあるのか。吉本興業プロモーションチームリーダーの吉川徹さんは、こう話す。
「イオンモールという場を通して、地域の方々が集まるコミュニティができたらいいなと考えています。その第1弾として幕張に劇場を出させていただきました。これまでは、大阪や東京の劇場に人気芸人を集めて『見に来てください』というスタンスだったのですが、幕張をスタートに、もっと地域の方々が参加できるイベントを作っていきたいです」
吉本興業は創業100年を迎えた2012年に、今後の100年もこれまでと同じ活動をしていくのかと問い直した。大崎洋社長いわく、「芸人の本業は、もちろんマスメディアや劇場で笑わせて商売することだが、芸人の役割はそれだけじゃないだろう。人と人を結び付けるような仕事ができないか」。
それを社員も強く感じたのは、2011年に始めた「あなたの街に“住みます”プロジェクト」だった。全国47都道府県に芸人を1組ずつ住まわせたところ、地域のイベントなどの仕事が数多く入り、町を盛り上げる成功事例もたくさん出てきた。「そうした経験から、地域の人と一緒に盛り上げていく意義や大切さを学びました。今後は芸人を使って、そういう活動をもっとやっていかないといけないと思っています」(吉川さん)。
こうして吉本「100年の計」と、イオンモールの「コトを通したモノの提供」が重なった。
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