放送46年「アタック25」終了が勿体なさすぎる理由 なぜクイズ人気を無視し、財産を放棄するのか

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1980年代半ばから芸能人が解答者のクイズ番組が増えて、視聴者参加型のクイズ番組が激減し、1990年以降の「アタック25」は、しばしば“最後の砦”と呼ばれる存在になりました。2017年12月に「99人の壁」(フジテレビ系)が90人超の一般参加者を集める形式でスタートしたものの、現在は大幅にリニューアル。ホームページ上に応募フォームこそありますが、チャレンジャー(センターステージ)は番組側がスカウトするケースが多く、ブロッカー(壁)も各テーマの専門家をそろえるなど、ほとんど視聴者参加型のクイズ番組ではなくなってしまいました。

「アタック25」の終了は単に「放送期間の長いクイズ番組が終わる」というだけでなく、「純粋な視聴者参加クイズ番組が消滅してしまう」ことになるのです。

このところ関西のローカルタレントを集めた「芸能人大会」ばかりになっていたことから、一部で「コロナ禍の影響で仕方がない」という声も上がっていますが、それは大きな問題ではないでしょう。

たった4人の出場者なら現状レベルの感染予防対策でも十分収録できるはずですし、システム的にリモート対戦することも可能。また、コロナはいずれ収束へ向かうことが予想されているだけに、「長寿番組を終わらせる」のではなく、「一時休止する」という選択肢も考えられるからです。

むしろ世間でクイズは流行っている

では、「人々の間でクイズの人気はないのか」と言えば、答えはノー。

「みんなで早押しクイズ」などのクイズアプリが小学生から中高年層までの幅広い層に楽しまれているほか、伊沢拓司さん率いるQuizKnock(クイズノック)はYouTubeチャンネル登録者数163万人・視聴回数12.5億回超など、その人気は絶大。また、松丸亮吾さんを中心にした謎解きや、「東大王」(TBS系)のブーム、クイズイベントの開催やクイズカフェの存在なども含めて、さまざまな面での盛り上がりが見られます。

「アタック25」への応募も多く、筆記テストと面接を突破するのは至難の業で、それどころか「予選会にすら参加できない」という人の声をよく聞きます。またかつて取材したときは、年間数万人の応募者がいるという話も聞きました。まるで番組出演しているように早押しクイズが楽しめるスマホゲームもあることから、番組サイドもその人気を認識できている様子がうかがえます。

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