大幅赤字に転落した日本郵船、今11年3月期黒字計画の「真実味」

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 以上が会社側のシナリオに沿った部門別の今期経常利益計画だ。ただ、上述したように、欧州航路のコンテナ船の前提が慎重すぎるので、会社計画の営業利益740億円は上振れする可能性を含んでいると「東洋経済オンライン」では見ている。今・来期予想については、今後の個別取材や同業他社への取材を経て、「会社四季報」夏号で見直す可能性がある。

なお、今期は上期にコンテナ船5隻を期限前返船し解約特損が発生するが、下期に売船や投資有価証券の売却で特別利益が発生する。

配当については、前期は11円減配の4円配だったが今期は1円増配の5円配の見通し。昨年12月に1100億円の巨額増資を実施しており、発行済み株式数が12億株から17億株に増えたため、1円増配は5億円の配当総額の増加となる。以下は過去2期の大手3社の配当実績と今期の予想だ。
     
   配当   09年3月期 10年3月期 11年3月期(予)  
 日本郵船   15円    4円     5円
 商船三井   31円    3円     10円
 川崎汽船   13.5円  0円     5.5円

最後に、日本郵船の財務の状況を見ておこう。昨年12月に1100億円の巨額増資を実施したことで、デット・エクイティ・レシオ(DER)や自己資本比率が改善した。とはいえ、なお1兆円強の有利子負債を抱えるほか、同業他社比較では、商船三井の財務内容のほうが依然良い。

   DER   日本郵船 (参考)商船三井
   09年3月期 1.98倍  1.13倍
   10年3月期 1.64倍  1.18倍
   11年3月期 1.53倍  1.17倍
   12年3月期     −  1.13倍
   13年3月期     −  0.92倍
(注)日本郵船は10年3月期に増資を実施。11年3月期~13年3月期は会社計画

 自己資本比率 日本郵船 (参考)商船三井
   09年3月期  26%  35%
   10年3月期  30%  35%
   11年3月期  30%  35%
   12年3月期    −  36%
   13年3月期    −  40%
(注)日本郵船は10年3月期に増資を実施。11年3月期~13年3月期は会社計画

  有利子負債     日本郵船 (参考)商船三井 
   09年3月期 1兆0779億円  7026億円
   10年3月期 1兆0818億円  7751億円
   11年3月期 1兆0400億円  8300億円
   12年3月期        −  8700億円
   13年3月期        −  7900億円
   (注)11年3月期~13年3月期は会社計画

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