泉谷直木・アサヒビール社長--首位陥落を顧客評価の低下とは認識していない
日本のビール会社との提携では夢は語れない
--2015年に売上高2兆~2兆5000億円、世界の食品企業の中でトップ10に入るという目標を掲げています。達成するには国内や海外でM&Aが不可欠ですが……。
主力の分野を、海外では酒類と飲料、国内では酒類と食品と考えている。海外に出るには自分たちのいちばん強い分野でないと勝負できない。一方、国内は各産業に企業数が多すぎる。これら内外の事情をうまく統合することでポテンシャルを見つけることができる。
海外市場で有望なのは、小さくても今後伸びるところか、大きくて安定的なところ。具体的に言えば、台湾、タイ、ベトナム。提携方法も、既存の各国のビール会社や飲料会社との提携や、そこへ進出するグローバル企業と販路や物流ネットワークなどで組む、もしくは中国で出資している青島ビールとともに動くなど、選択肢はいろいろある。
買収に絞らず相手先を広げることも大事だし、どれが最も投資効率面で利回りが高いかを見極めていくことも必要だ。相手もアジア企業に限る必要はない。
一方、国内飲料のM&Aには二つあって、一つはお茶やコーヒーなど分野別でのナンバーワン企業か、強い2位商品を持っている企業と組むこと。つまり、ブランドの不足を埋めるためのやり方だ。もう一つは生産能力から店頭配置までのバリューチェーンの不足を埋めるためのものだ。
これらを縦軸、横軸に書いていけば、ターゲットは出てくる。規模だけでなく、利益を上げるためのM&Aが必要だ。