社長が「会社売却」を真剣に考える、よくある5理由 その「一世一代の決断」は「会社」を救えるか?
元々は三菱商事で商社マンだった藤井一郎氏は、M&A業界に転身して約15年間、M&Aコンサルタントとして数多くの中堅・中小企業のM&A案件を担当し、譲渡価格で200億円超の案件も成約に導いてきた。現在は新進気鋭のM&A仲介会社インテグループの社長として、コンサルタントに対する助言および経営業務に専念している。
「中小企業M&Aの最新の動向を盛り込み、中小企業のM&Aに関わる方々にとって最も役立つ入門書をつくりたい」との思いから、「買い手」「売り手」「仲介会社」「ファンド」などさまざまな視点ですべて公開した『M&A仲介会社の社長が明かす中小企業M&Aの真実 決定版』を上梓した藤井氏が、「社長が会社売却を考える5つの理由」について解説する。
売却を検討する理由は「後継者不在」だけではない
現在、「後継者不在による事業承継」が中小企業の大きな課題となっており、経済産業省では、「黒字廃業」を防ぐために年間6万件の「第三者承継」を目指すとしています。
しかし、中小企業のオーナー社長が「子どもや社員」に継がせるのではなく、第三者への承継を選ぶ理由は「後継者不在」だけではありません。
中小企業のオーナー社長が会社を売却する理由は、大きく5つに大別されます。本記事では、5つの理由について解説していきます。
【売却理由①】「後継者不在」のため
1つめの売却理由は、一番大きな課題になっている「後継者不在」です。
社内に親族などの後継者がおらず、かといって会社を清算すると従業員や取引先に迷惑をかけるため、「譲渡によって事業承継をはかる」ケースです。
帝国データバンクの調査によると、国内企業の社長の平均年齢は約60歳で、そのうち3分の2の企業は後継者が決まっていないという状況が続いています。
病気や家族内の介護の問題がきっかけとなったり、また第2の人生、ハッピーリタイアを志向したりして、売却を決断するオーナー社長が増えています。
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