社長が「会社売却」を真剣に考える、よくある5理由 その「一世一代の決断」は「会社」を救えるか?

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中小企業は、なかなか規模のメリットが働かず、取引先に対する交渉力も弱いため利益率が低くなりがちです。そうすると、ひとたび不況になったり、経営判断のミスがあったりすれば、すぐに倒産の危機に陥ってしまう場合があります。

また、人口が減少している日本において、多くの業種が不況業種となっており、「先行き不安や業績不振により売却を希望する」ケースが増えています。

「売上が急拡大」しても「不安」が増すことがある

【売却理由③】「先行き不安」と「業績不振」

当面はまだなんとかなるとしても、不透明な経済環境の中、将来にわたって独力で会社を運営していくことに不安を感じ、資金力がある大手企業の傘下に入ったほうがいいと考える経営者もいます。

将来に対する不安は、業績の悪い会社の経営者だけの悩みではありません。

売上が急拡大してくると、運転資金の増加や新規の投資のために借入金が膨れ上がってくることがあります。

通常、オーナー社長は借入の個人保証をしますので、「もし将来、売上が下がれば本当に借入が返せるのか」と不安になる経営者もいます。

構造的に業績不振が続いていて、再生支援のスポンサーを探すというケースもあります。借入金が過大で返済の目途も立たない場合は、法的整理も含めて検討することになります。

好んで再生案件に投資するファンドや事業会社もありますが、彼らも当然経営再建できる可能性が高い案件にしか投資しませんので、技術、顧客、商圏など何らかの「大きな強み」がないと売却は容易ではありません

【売却理由④】「選択と集中」のため

複数の事業を行っている企業による、「ノンコア(非中核)事業」や「子会社の売却」です。ノンコア事業の売却により資金を獲得し、コア(中核)事業に経営資源を投下していくことになります。

欧米では、経営している複数の事業をポートフォリオとして考え、売上や利益、成長性などで社内の基準を満たさなくなった事業は撤退や譲渡によって入れ替えをはかり、恒常的に選択と集中が行われています。

日本企業もノンコアの事業・子会社の売却をもっと真剣に検討するべきです。なぜなら、一般的にM&Aは買い手より売り手のほうがリスクも低く、満足度も高くなるからです。

買い手は買収した会社がうまくいくかどうかはわからず、成功もあれば失敗するケースも当然ありますが、売り手は契約違反によって損害賠償請求を受けないかぎり、売却した時点でお金が入り利益が確定するためです。

次ページでは、最後の「売却理由」は?
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