そして、4月に入り、同じ島に住む女性、幸恵(32歳、仮名)とのお見合いが成立した。お見合い後は交際に入ったのだが、私は、この交際もこれまでと同じで、数回会ったら女性側からお断りがきて、“ハイ、終了!“となるのではないかと思っていた。何より年齢差17歳の年の差婚は、難しいのではないかと感じていたからだ。
ところが、交際して1カ月経った頃、幸恵からこんなLINEが恒夫に届いた。
「恒夫さんに出会って、人から優しくされることで、こんなにも温かな気持ちになれるのだと、初めて知りました。これからもずっと一緒にいられたら、私は幸せです」
聞けば幸恵は、幼い頃から家庭環境に恵まれていたかった。怒ると大声で家族を罵り、時には暴力も振るう父。そんな父に耐えかねて家を出た母。兄弟はいたが家族はバラバラで、温かな愛情とは、無縁な中で暮らしてきた。
そんな幸恵にとって、恒夫の優しさが身に沁みたのだろう。側にいると、安心できたのだろう。
幸せの青い鳥は、すぐ近くにいた
このLINEをもらい、恒夫は幸恵へのプロポーズを決意した。そこから数週間後の5月の吉日に、一流ホテルの夜景がきれいに見える最上階のレストランで、幸恵にプロポーズをした。
恒夫は、これまで飛行機に乗って全国を飛び回り、たくさんの女性とお見合いをし、デートを重ねてきた。時には高価な品物や豪華な食事をねだられ、散財をし、婚活は苦難の道のりだった。しかし、それを経て出会ったのが、車で20分の場所に住んでいる32歳の幸恵だ。彼女の年齢ならば、子どもを授かれる可能性も十分に高いだろう。なんだか『青い鳥』の寓話のようではないか。幸せの青い鳥は、すぐ近くにいたのだ。
「結婚したい」という気持ちが強くなると、相手の本質が見極められなくなる。ことに、婚活で、散財するのは男性側なので、 “この女性は、結婚相手には違うかもしれない“と思っても、費やした時間とお金を考えると、それをパァにしてしまうのが惜しくて、交際終了を出せずにズルズルと付き合ってしまう。時に高価な品物や食事をねだられても、女性を失うのが怖くて、それに応じてしまう。
どんな人が、最終的に結婚できるのか。それは、あきらめることなく出会い続けた人なのだが、同時に、どんな相手を選んでいくか、その冷静な気持ちも忘れてはいけないのだ。
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