ガザ地区に潜む「猫の9つの命を持つ」謎の男とは イスラエル暗殺者リストの上位に載るムハンマド・ダイフとは
「猫は9つの命をもつ」という英語の諺がある。ガザにはイスラエルに命を狙われながらも奇跡的に7回生き延びた、「猫の7つの命を持つ」と呼ばれている男がいた。2011年5月10日に始まり、21日に停戦した過日の11日間のガザの攻撃中、イスラエルが2度殺害に失敗したため、「猫の9つの命を持つ男」に改められた。
その男の名をムハンマド・アッダイフという。欧米では定冠詞の「アッ」を取って、ムハンマド・ダイフと呼ばれている。謎の多い人物であるが、アラブメディアで収集した限りの情報で、「猫の9つの命を持つ男」の人物像に迫ってみたい。
劇団での経験で命を何回も拾う
本名をムハンマド・ディヤーブ・イブラヒーム・アルマスリーという。エルサレムのコバイバ出身の夫婦の子として1965年に誕生。パレスチナ難民キャンプで育った。その後、ガザ南部のハーン・ユニスに移り住み、定住した。家庭は貧しかった。
ガザのイスラム大学を卒業。卒業後は養鶏場を経営。
中高生のときにムスリム同胞団に出会う。その組織は後に「ハマス」と改名するのだが、ダイフは大学生時代にこの組織との関係を深めた。ムスリム同胞団はレジスタンス組織宣言をして武装するようになるまでは、イスラムの宣教や布教(ダアワ運動)や文化活動を行っていた。
ダイフもそのような活動を手伝っていた。ガザ初のイスラム団体による演劇団を作り、大学の劇場でデビュー作「帰還者」が上演されたときは、役者として参加した。このときの役名がアブ・ハーリド(ハーリドのお父さん)だった。それが活動名になり現在に至っている。
この劇団の役者としての役作り経験が、後に大いに役に立つことになった。変装していろんな人物に化けて追手を欺き、難を逃れ続けたのだ。
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