パレスチナ問題「日本人が知らない」世界の報じ方 中東の火種が東南アジアのSNS上で沸騰の理由

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イスラエルとパレスチナを分断する壁 「テロリストの侵入は減少している」とイスラエル側は主張しているが――(ヨルダン川西岸ベツレヘム 、筆者撮影)

イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマスによる軍事衝突は、11日間にわたって緊迫した情勢が続き多くの犠牲者を生んだものの、5月21日にエジプトの仲介でようやく停戦合意に至った。しかし、根底にある根深い土地所有問題、エルサレムを巡る双方の対立は何ら解決しないまま棚上げされた格好となり、国際メディアの関心は徐々に薄れていき、根本的な解決は再び遠ざかる。

#SavePalestineが急速に拡散された理由

日本では当初、東エルサレムのシェイク・ジャラ地区からのパレスチナ人立ち退き問題や、アルアクサ・モスクでの衝突が起きている時点では大々的に報じられることはなく、短いニュースで断片的に報じられるにとどまった。

一方で、この衝突時点からトップニュース扱いで報じてきたのは、日本人駐在員も多く暮らし、ロングステイ先としても人気の東南アジアのマレーシアだ。目下、新型コロナウイルスの感染者数が増加の一途をたどり深刻化するなか、「パレスチナ問題」は連日ニュースのヘッドラインを飾り、急速に人々の関心を集めた。国民の多くがSNS上でパレスチナへの同情をシェアし、「#SavePalestine(パレスチナを救え)」「#gazaunderattack(ガザが攻撃されている)」などと悲痛な思いを共有した。

マレーシアの首都クアラルンプールのシンボルとも言えるペトロナス・ツインタワーを市民がフォトショップでマレーシア国旗とパレスチナの旗の色彩に彩って加工した写真がSNS上で実に10万件以上拡散されたほか、中心部のランドマークでもある高さ421メートルの通信塔クアラルンプールタワーは実際にパレスチナの旗模様にライトアップされた。

「クアラルンプールタワーはイスラム教徒の同胞への連帯と支援の証しとして、パレスチナの旗の色にライトアップしています。彼らの安全と繁栄を願いましょう」とのタワー側からのオフィシャルコメントもSNSを通じて瞬く間に広まった。

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