大進化「100円回転寿司」プロに聞く得する食べ方 原価率が高い「神7ネタ」その第1位は?
また、技術革新によって人件費や廃棄率の効率化を実現したことで、「通常30%を切る外食産業にあって、回転寿司チェーンは平均40~50%という高い原価率(材料比率)を可能にしています」と説明するのは、調達・購買業務コンサルタントで、未来調達研究所の坂口孝則さん。
「回転寿司の価格の秘密は、原価率の高いネタと安いネタの両方を食べてもらうことで、値段のバランスをとっていること。“粗利ミックス”と呼ぶのですが、ひとつの商品で利益率を考えるのではなく、まとめて利益を考えていくわけですね。
また、集客のための“吸引力”として大特価のマグロや目玉商品を軸に展開することを『マグネット商品』と言います。目玉商品に手をのばす一方、子どもは原価率の低いネタを、お父さんは原価100円のビールを500円で飲む。回転寿司はマーケティング面においても、非常に先進的な外食産業と言えます」(坂口さん)
スイーツやドリンク類などサイドメニューが充実していることも理由があるという。
「通常、外食産業はランチタイムとディナータイム以外は、客足が鈍ります。ところが、回転寿司はスイーツなどを充実させることで、14時~18時のアイドルタイム(遊休時間)に、学生やママ友などのグループが利用したくなるような工夫を施している。
しかも、ケーキ類の原価は68円と比較的高い。回転寿司はネタが回転するだけでなく、客の“回転率”も視野に入れて設計されています」(坂口さん)
効率的なコスト削減でおいしさの追求ができる
徹底した機械化とマーケティングによって進化し続けてきた回転寿司。となると、残すは「味そのものへの追求でしょう」と、前出の米川さんは語る。
「『スシロー』さんはセントラルキッチンを持っておらず、店内調理やスライスをしているので『天然魚フェア』を開催した際には、天然もののサメガレイ、しかもエンガワがレーンから流れてきました。
効率的にコストを削減できる設備と戦略があるからこそ、人件費をかけてでもおいしさの追求が可能となる。追いつき追い越せで、ほかのチェーン店も質にこだわるようになる。現在、回転寿司は安さ以上に、おいしさを競い合う新たな局面を迎えていると言えます」(米川さん)