大進化「100円回転寿司」プロに聞く得する食べ方 原価率が高い「神7ネタ」その第1位は?
「冷凍保存の技術が飛躍的に進歩しています。魚は、死んでしまうと全身に血が巡ることで、臭みが生じる。そのため、血抜きや氷漬けなどをして魚の鮮度を保つようにするのですが、沖から港に戻るまでの数時間で、どうしても劣化してしまう。
ところが、大手チェーンの中には、漁獲と同時に船内で瞬間冷凍してしまう、国内に10隻ほどしかないと言われるとてつもない設備を備えた遠洋漁船と契約しているところがある。血が巡る前に凍らせてしまうので、朝とれの魚以上に、まったく臭みのないマグロやカツオを店舗に届けることができる」(米川さん)
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5大チェーンの一角であるスシローに冷凍保存について話を聞くと、
「人気No.1のマグロは、長い縄にたくさんの釣り針をつけた、はえ縄漁でとってすぐに船上で凍結されます。その後、工場に運ばれ、マイナス55度という極寒の冷凍庫で保管。加工工場でスピーディーに加工、梱包されます。
店舗に冷凍状態で届いたマグロは、温塩水解凍といううまみを逃がさない解凍方法で丁寧に解凍するので、よりよい状態で提供することができます」
このように、生鮮食品などを生産・輸送・消費の過程で途切れることなく、低温に保ちながら物流する方式をコールドチェーンと呼ぶそうだ。
大手回転寿司チェーンは、その先駆者であり、ほかの外食産業と比べても、とくに技術革新を重ねてきた歴史を持つという。
客からの「クレーム」がさらなる進化を促す
「食材の廃棄率を下げるためにタッチパネルを導入し、いま現在、大手チェーン店のロス率は、1%台といわれています。また、スタッフの労力を削減するために給茶システムが生まれました。『くら寿司』は、1990年代後半に皿カウンター水回収システム、時間制管理システム、自動廃棄システムなど、いち早くフロアの効率化に取り組んでいます。
実は、これらの多くは“使い勝手が悪い”“待たされる”などクレームに対応するために開発された背景があります。クレームによって回転寿司の進化が後押しされているところがあるんです」(米川さん)
2016年、公益社団法人発明協会が「戦後日本のイノベーション100選」を選定した際には、外食産業で唯一、回転寿司が選ばれたほど。コロナに起因する感染症対策として、タッチパネルに触りたくないという要望に応える形で、スマホの専用アプリから注文を行えるように対策を講じた大手チェーンもある。このスピーディーな対応ひとつ取っても、いかに回転寿司が先進的な外食産業かわかるはずだ。