人間の「皮膚」に隠れた壮大すぎる生存戦略の要諦 皮膚研究の第一人者が語る皮膚と意識の密な関係

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では、進化の過程でいつ意識は現れたのだろう。人間は他の生物や現象を擬人的に見る傾向がある。そのため、たとえばゾウリムシが、障害物を避け、生きるのに適さない高温環境を避けたりするのを見ると意識があるように思う。あるいは成長期のヒマワリの葉が太陽を追うように動くのを見ると、ヒマワリにも意識があると想像する。しかし、彼らに過去の経験から未来へ対処する能力があるようには見えない。

そう考えると、学習能力の出現が意識の始まりかもしれない。アメフラシを使って記憶のメカニズムが解明された。ではアメフラシには意識はあるだろうか。おそらくはない、とぼくは考える。前に述べたように、人間の意識は感覚器からの情報と脳との相互作用から作り出される。アメフラシには全身からの情報を集積し、そこから未来に向けた新しい行動パターンを生み出すほどの中枢神経、脳と言えるほどのシステムはない。

身近なペット、犬や猫には意識はありそうだ。飼い主を見分けるし、猫は自分につけられた名前を覚えている。ただ、彼らの意識がどのようなものなのかは想像できない。愛犬家、愛猫家の方々には叱られそうだが、ぼくは、彼らの意識は人間の意識に比べて簡単なもの、あるいは「意識」という認識はないだろうと想像する。

人間の脳は、環境にさらされた皮膚と連携しながら大きくなってきた。犬や猫、あるいはゴリラやチンパンジーでも、環境とのインターフェイスとしての皮膚の構造は人間と大きく違う。めまぐるしく変わる環境の変化、その情報を膨大にもたらす皮膚と、その情報を記憶し組み換え、それまでの人類が感覚機構で感知することができなかった現象まで予言しうる脳、それらを併せ持つ人間の意識は、他の生物に比べて極めて特異なものだと考える。

電脳空間に個人の意識を移行できるか

一方でSFの世界では、インターネットのシステムに人間の意識を収納したりする。インターネット、電脳空間とも言うようだが、その中でのみ存在する人格、といったアイデアをよく見かける。確かに、ある個人の「感覚」や簡単なレベルの「意識」を電気信号に変換し、別の人間の脳に転送する、という実験がなされているので、将来、個人の脳の中の意識、ぼくに言わせれば、それは神経細胞の集まりである脳の中の時空間的な電気化学現象なのだが、それを他人と共有したり、外部に保存することが可能になるかもしれない。

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