愛知県西尾市、泥沼化した「PFI事業見直し」の行方 4年前から協議進まず再び選挙へ突入のワケ

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西尾市では、PFI見直しが進まない原因として「1つの契約で包括的に一括発注する全国に例のない事業である」こと、「契約期間が30年という異常な長期契約である」ことの2点を回答した。

しかし、契約内容は建設工事と施設の運営・維持管理だけで複雑ではないし、契約期間30年も、愛知県産業労働センターのPFI事業や仙台空港のコンセッション事業などの事例もあり、長期間で投資を回収するほうが自治体の負担は軽くなるのが一般的だ。

顕在化した政治リスク

急激な人口減少に直面する地方自治体では、地方再生に向けてスーパーシティ/スマートシティなどに取り組む動きが活発化している。老朽化が進む公共施設の運営管理を一括して民間事業者に任せる包括委託管理制度を導入する自治体も増えている。今後ますますPPP/PFIの活用が求められるなかで、西尾市のケースはPPP/PFIが抱える政治リスクを顕在化させた。

「泣く子と地頭には勝てぬ」という古いことわざがある。聞き分けのない子どもや横暴な地頭(平安から鎌倉時代に地方を管理していた権力者)とは道理で争っても勝ち目はないとの意味だが、西尾市では見直し問題によって民間事業者が多大な負担と労力を強いられている。

その一方で、肝心の「公共施設再配置計画」の実施は遅れている。増えすぎた公共施設の解体工事も進んでおらず、PFI見直しで「市民により良い行政サービスを提供する」という本来の目的は果たされているのだろうか。民間事業者としても政治リスクの懸念がある地方自治体には慎重な対応を取らざるをえないだろう。

地域社会に今、何が求められているのか――。過疎化が進む地方では、行政に丸投げするだけでは課題解決は難しい。住民一人ひとりが地域社会を経営する感覚を持って判断することが必要である。

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