愛知県西尾市、泥沼化した「PFI事業見直し」の行方 4年前から協議進まず再び選挙へ突入のワケ

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しかし、2010年代になると、国もPFIを積極的に活用する方針を打ち出し、抜本的な制度改革を乗り出す。公共施設の所有権を公共に残したまま民間事業者が運営権を得て事業を行う「コンセッション(公共施設等運営権制度)事業」、老朽化が進む公共施設の維持管理を民間事業者が一括して行う「公共施設包括管理委託事業」などが新たに導入され、PFIを含めて全体を「PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)事業」と呼ぶようになった。

2015年末に国は、一定規模以上の公共事業ではPFI方式を優先的に検討することを地方自治体に要請。西尾市のPFIは、国の方針を先取りする形で進められている先進事例として注目され、筆者も2015年から取材を続けてきた。

2017年の市長選挙で争点に

西尾市は、2011年4月に一色、吉良、幡豆の3町と合併し、増えすぎた公共施設を削減しながら整備・再配置する「公共施設再配置計画」を3年がかりで策定し、PFIで実施することを決めた。第1次事業分として14施設の解体、12施設の改修、5施設の新築を含む建設工事と、約160施設の30年にわたる維持管理業務をまとめて発注することを決め、民間事業者を公募した。

雲行きが怪しくなったのは2016年春頃から。建設談合が起きにくいようにPFIの委託先を民間工事発注のプロである不動産会社を中心とする「サービスプロバイダー」とすることが明らかになり、地元建設業界がPFI反対の要望書を提出。巨額のPFI事業の一括発注はリスクが大きいとして市民団体の反対運動も始まった。

西尾市は、市議会の議決を得て、地元企業で組成したSPC(特定目的会社)「エリアプラン西尾」と契約してPFI事業を2016年6月にスタート。並行して市民説明会を開催してPFI事業への理解を求めるも沈静化できず、2017年6月の市長選挙で最大の争点となった。

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