多くの人が陥る「俳句は感動を詠まねば」の勘違い 「感動至上主義」よりもっと大事なこと
感動を俳句にするコツは?
きれいな夕日とか、感動したものを句にしようとすると、大概うまくいきません。
感動を俳句にするコツ、教えてください。
岸本:結論は「感動は気にせず、放っておく」です。感動は自分だけのものです。「感動」を詠もうとしてあくせくする必要はありません。もちろん、感動したことを人に伝えたいと思うのは自然な人情ですが、無理に俳句にしなくてもいい。夕日に感動したなら、写真に撮ってメールで送るとかでいい、そういう話だと思います。
俳句でいくら「きれいだった」と訴えても、読者は「そうですか。よかったね」と思うだけです。むしろ、読者自身の想像力を働かせるような句を作ることが肝要です。
夕日の光景を伝えようとするとき、夕日はもともときれいなものですから、多くを語る必要はありません。あかあかとした夕日を背景に、草が2本生えている。その程度で十分だと思います。景色を描くときは、句の言葉が作者にとってはスカスカに思えるように作れば、それが読者にとってちょうどいい加減なのです。
初心者の方は、十七音の器のなかに言葉や情報を詰め込みすぎるきらいがあります。感動した事柄をいったん整理して、詰め込みすぎた一句を、二句や三句に分けるとよいでしょう。句や言葉を思い切って「捨てる」ことが大切です。