ひょんなことから1冊の詩集を購入した。『新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」アウトロー俳句』(河出書房新社)だ。
どうやら歌舞伎町に集まるアウトローたちが、詠んだ俳句集らしい。アウトローとは無法者のことだろうか。
サラッと目を通した。
軽い気持ちで読み始めたのだが、一つひとつの俳句が胸に突き刺さってきた。そこには世間からはみ出した人たちの、怒り、悲しみ、憎しみ、喜び、愛情、などが渦巻いていた。
この本は、新宿歌舞伎町俳句一家「屍(しかばね)派」の句集である。編は俳人である北大路翼さん(40歳)だ。
『アウトロー俳句』の前に出版された、北大路さんの単著『天使の涎』(邑書林)は若手俳人のための最高の賞である“田中裕明賞”を受賞している。
歌舞伎町の片隅にひっそりとある"城"
北大路翼さんが歌舞伎町の路地裏で営業しているお店が「砂の城」だ。
おそらく戦後のドサクサの頃から変わっていないであろうゴミゴミとした裏路地にある。グチャグチャの電線が走り、さまざまな国の言葉で書かれた看板が出ている。そこにある雑居ビルの3階に「砂の城」はあった。
恐ろしく細い階段を上り、ドアを開けると北大路さんはバーの椅子に座っていた。入るなり、
「床、穴空いてるから気をつけてくださいね」
と言われた。足元を見ると、確かにボコンと大きな穴が空いていた。しばらく前に抜けてしまったという。
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