「経営者の報酬」を減らして最低賃金を引き上げよ 衝撃!「中小企業の労働分配率80%」に潜む欺瞞
日本に必要な「3つの経済政策」
日本経済を回復させて財政を健全化させるには、(1)賃金の引き上げ、(2)企業の設備投資の増加、(3)生産的政府支出(PGS)という3つの経済政策の実施が求められます。
経済を構成する最大の項目は個人消費です。単純化すると、個人消費=人間の数×所得なので、人口が減少する日本では、何もしなければ個人消費総額は確実に減ります。所得の増加は、日本にとって死活問題です。
所得を増やすには、短期的には労働分配率を上げればすみますが、中長期的には、企業の設備投資が必要です。設備投資が増えれば生産性が上がり、労働分配率を維持しても、賃金は持続的に上がります。
1990年以降の日本のGDPの動向を見れば、デフレや消費税の引き上げがあったにもかかわらず、個人消費は堅調に伸びたことがわかります。経済の足を引っ張っているのは、設備投資です。
企業の設備投資意欲を高めるには、政府のリーダーシップが不可欠です。国家戦略です。日本は1990年あたりから、企業の設備投資意欲を高める国家戦略が欠けていましたが、今現在は、グリーン戦略とICT戦略が掲げられています。
これらの戦略を成功に導くのに重要なのは、政府がGDP比で見ても大規模な金額を投資することです。
日本のGDPは約550兆円ですが、日本の生産的政府支出(PGS:日本人の知らない経済政策「PGSを増やせ!」参照)は現在GDP比で10%以下となってしまいました。先進国の平均は24%ですし、途上国ですら平均20%なので、日本のPGSはまったく不十分です。日本のPGSをGDPの20%に上げるためには、年間約50兆円の追加予算が必要になります。1兆円や2兆円では焼け石に水です。
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