「日経平均は緩やかに上昇」との予測を変えない訳 投資家が気になっている4つの質問に答えよう

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2月に日経平均やナスダック総合指数が一度高値をつけ、そこから総じて調整に入ったことが、徐々に日米の株式市況の上値を重くし、ついには5月の急落につながった。

極端な楽観と悲観が株価を上下動させただけ

その調整と急落の主要因は、アメリカのインフレ懸念でも長期金利上昇でもない。

2月まで投資家たちは「このダンジョンは楽勝だ、かわいらしいモンスターであるスライムくらいしか現れない」と楽観にいきすぎ、成長株中心に買い上げた。そこに、長期金利上昇やインフレ懸念といった「中ボス」が出てきたため、今度は泡を食って「これは大変だ、一気に魔王が出るのではないか」と悲観に傾き、5月の安値をつけたと考えている。

データを見ればわかることだが、「アメリカの長期金利が一時よりも上がった」といっても、足元の10年国債利回りは1.60%前後で落ち着いている。しかも現水準は、2016年や2019年の同金利の最低値にほぼ並んだ程度だ。

つまり、今の金利水準で「アメリカの景気が悪化する」「株式から利回りのある金融商品へ大きな資金移動が生じる」などといった懸念をするようなものではない。

インフレも、供給側の制約、例えば中東産油国で戦乱が起こって原油生産に支障が生じた、といったような、いわゆるコストプッシュインフレーションではない。

確かにコストプッシュ型であれば、景気が悪化しても物価上昇が深刻化しかねない。だが現在はそうではなく、景気が強く需要が膨らんでいることによるデマンドプルインフレーションであり、悪質ではない。

このため、日々や毎週の市況の振れは、投資家の心理の変動によって生じているだけであろう。長期金利やインフレの動向は、その「ネタ」に使われているにすぎないのではないか。金利や物価は市況変動の本質ではないのだから、それらの動向と株価の動きが連動していないことがあってもまったくおかしくない。

3つめの質問も、このところよく受けるものだ。すなわち「東京オリンピックが予定どおり開催されるか、あるいは中止されるかで、日本の株価は暴騰したり暴落するのかどうか。海外投資家はどちらだと考えているのか」というものだ。

東京オリンピックの開催の有無は、株価動向にはほとんど関係がなく、暴騰も暴落もないだろう。

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