次世代電池として期待される「全固体電池」の商用化までの道のりはまだ遠いようだ。中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は5月25日に、投資者向けの研究レポートを発表した。その中で、全固体電池は技術的な課題がまだ完全に解決されていないことに言及した。
現在主流の車載用電池は、正極、負極、電解液、セパレーターの主に4つの部分で構成されている。だが全固体電池は電解液も、セパレーターも必要としない。液体を含まないため安全性が高く、新材料を用いることでエネルギー密度を高めることが可能とされる。
CATLは長年研究を行ってきたため、業界内で最先端の技術レベルにあり、全固体電池のサンプルを作ることも可能だとしている。しかし未解決の技術的問題がまだ残っているため、商用化に至るまでのタイムスケジュールは明らかにしていない。
自動車メーカーも開発に続々参入する
現在、多くの自動車メーカーが(全固体電池の)新技術に希望を託し、ブレイクスルーを起こそうとしている。アメリカのフォード・モーターは5月26日、同社が株式を保有している全固体電池開発のスタートアップ「ソリッドパワー」と共同で、長寿命で低コストの全固体電池を開発する計画を発表した。
ドイツのフォルクスワーゲンも、アメリカの全固体電池スタートアップ「クアンタムスケープ」と2012年から協力関係にあり、出資もしている。またトヨタ自動車は全固体電池関連の特許技術を最も多く保有し、2022年には全固体電池を搭載した電気自動車(EV)のプロトタイプを完成させ、2025年頃には量産を開始する計画だ。
しかし中国の電池業界のある専門家は「次世代電池の開発には長期にわたる技術の蓄積が必要であり、(全固体電池の)新技術をテコにライバルを一気に追い越すのは容易ではない」と指摘した。
CATLも「電池開発に必要なのは電気化学の技術だ。われわれは電気化学に対する深い理解があり、自動車メーカーがこれを凌駕するのは一般論では難しい」と投資家の質問に対して回答した。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月27日
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