コロナ対策先進国・中国はなぜ規制緩和しないのか 国際的な孤立を招きかねない厳格な中国型対策

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中国は新型コロナウイルス感染症(COVID19)の予防接種回数が1日当たり2000万回と、世界をリードするペースで、人口の4割余りが少なくとも1回は国産ワクチンを打った。だが、他国が世界に向けて経済活動を再開する中でも、中国はコロナ禍の次の章に進むのを急いでいないようだ。

中国のワクチン接種は当初ためらいや供給不足で緩慢なスタートだったが、今では6億6000万回以上接種され、あと数カ月で人口14億人が集団免疫を獲得できる方向にある。地元メディアが伝えた衛生当局のデータによると、首都北京市では8割強の市民が少なくとも1回接種を受けた。

ワクチンの集団接種会場で登録する人々(5月18日)

しかし中国は、国内でのウイルス流行を排除してワクチン接種がかなりの水準に達したにもかかわらず、国境閉鎖や外国からの訪問者に対する厳格な隔離措置、感染再拡大時の積極的なロックダウン(都市封鎖)というコロナ対策の戦略から離れる考えは示していない。過去1年1カ月で新型コロナの死者は1人だけで、ワクチン接種による予防効果が増しているが、高官はウイルスが依然突きつけるリスクに関して厳しい論調を変えようとしない。

中国疾病対策予防センター(CDC)の主任疫学者である呉尊友氏は5月の説明会で、「国外で流行が制御されないままである限り、中国で感染がない状態がどれだけ続こうとも、国内のどこにでも発生する可能性がある」と指摘。 「このため不可欠な抑制策を十分に実施する必要がある」と述べた。

今週、インドと英国で最初に出現した変異株による新たな感染が南部広東省が拡大した際、当局は湖北省武漢での最初のロックダウン(都市封鎖)以来磨きをかけてきた戦術を駆使し、感染拡大地域で外出を制限、住民への大規模検査を実施した。人口1870万人の市で50人余りの感染が確認された今回のクラスターを受け、広州白雲国際空港から出発する航空便の半数が運航中止となった。

コロナ感染再拡大で中国が対策強化-喉と口、肛門から検体採取し検査

対照的に、予防接種水準が中国と同等もしくはそれより低くても、行動制限を緩和し始めている国は多い。米国は規定回数の予防接種を受けた人が45%に達した際に物議を醸していたマスク着用義務を解除した。香港では予防接種を受けた企業の上級管理職に隔離を省略することを認める。シンガポールのリー・シェンロン首相は5月31日、活動制限を緩和する方針を表明し、人々は「ウイルスと共に」生活することを学び、世界に再び参加するだろうと述べた.

制限緩和の方向に進む国が増える中で、中国のアプローチは同国を一段と孤立させるリスクがある。散発的な感染拡大があるたびに生活に大きな支障が生じ、海外旅行の見通しも立たない中、人々はワクチン接種の意味を疑問視しかねない。

中国の国家衛生健康委員会は再開計画に関するブルームバーグの取材要請を拒否し、この記事についてのコメントも控えた。

原題:China Chooses Isolation, Even With 20 Million Covid Shots a Day(抜粋)

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著者:Bloomberg News

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