中国の金融システムが抱える「最大級の不安」 建党100年控え「モグラたたき」方式でバブル退治

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中国の10年国債利回りは約3.1%とほぼ9カ月ぶりの低水準だが、この水準でも欧米の超低金利にあえぐグローバル投資家にとっては十分なリターンだ。国外からの資金流入が、資本規制により行き場のない膨大な本土資金に加わる構図となっており、いわゆるホットマネーが資産価格をかつてないほど押し上げている。

交銀国際の調査責任者、洪灝氏が中国金融市場について語る出典:ブルームバーグ

「モグラたたき」のような手法

中国は的を絞ったアプローチである程度の成功を収めている。商品先物はここ数週間で記録的高値から値下がりし、仮想通貨もまた大きく下げた。

ただ「もぐらたたき」のような手法だ。金融市場で一部の相場を抑制すれば、他の資産が値上がりする。中国株の指標CSI300指数は25日、香港との株式市場接続を経由した資金流入と、中国で2番目に大きな上場投資信託(ETF)が前例のないほど買われたことで3%余り上昇。対ドルで約3年ぶりの高値となっている人民元の魅力を高めている。

あるいは、こうした全てが共産党による大戦略の一部かもしれない。本土株上昇は商品市場から熱を奪う可能性があり、元高は輸入原材料コストを押し下げる公算が大きい。そうなればインフレ圧力は弱まり、中国人民銀行(中央銀行)は緩和スタンスを維持することが可能となる。建党100年を控える中で、共産党と習近平総書記(国家主席)には「強い」金融市場が必要だ。

ただ相場上昇が止まらず、政府のコントロールの及ばない力が市場を動かすようになるリスクもある。そうなれば、人民銀は流動性吸収や利上げといったより強力な手段に訴えざるを得なくなるかもしれない。

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