みずほ会長辞任の内幕、金融庁が“最後通告”
さかのぼること4月12日、みずほグループの3トップは霞が関の金融庁を訪れていた。
みずほフィナンシャルグループの塚本隆史社長、みずほ銀行の西堀利頭取、みずほコーポレート銀行の佐藤康博頭取の3人である。銀行トップが監督当局を訪問することは珍しくないが、そろい踏みとなれば話は違ってくる。
この日は金融庁からの強い要請に応えたもので、異例の出来事と言っていい。金融庁幹部は3トップに対して、極めて厳しい問題を突き付けた。
それは「ガバナンスへの強い懸念」だった。みずほグループでは2009年春、みずほフィナンシャルグループの前田晃伸社長(写真)、みずほ銀行の杉山清次頭取、みずほコーポレート銀行の齋藤宏頭取の3人が取締役会長に退き、代わって現在の3トップが就任する人事が行われた。
ただし単純なトップ交代ではなく、7年ぶりの会長職の復帰も伴っていた。みずほグループは02年4月に発生したシステムトラブルを乗り切った後、統合を実現した功労者と言える3人のCEOがトラブル発生の責任を取る形で辞任に追い込まれた。その後、前田社長の下で会長職は廃止していた。
公的資金注入を示唆
代表権がないとはいえ、前田、齋藤両氏は絶大な影響力を誇示する実力者であることに変わりない。こうした状況を金融庁は「会長による院政」として問題意識をしだいに強めていった。誰が経営しているのかがわからないという意味での、ガバナンスへの懸念である。