中国は日本やオーストラリアなど11カ国が加盟している環太平洋連携協定(TPP)への参加を巡る協議を水面下で進めている。TPPは当初、中国を除外し、米国の経済力とアジア太平洋地域との貿易関係を強化することを目指していた。
豪州とマレーシア、ニュージーランドの当局者はTPPの詳細に関して中国側と技術的協議を行った。3カ国以外にも話し合った国がある可能性もある。一連の協議についてコメントする権限がないとして匿名を条件に加盟国4カ国の当局者が明らかにした。
対中イメージ悪化や対米対立が課題
中国は今年2月、一部のTPP加盟国と非公式協議を行ったと発表したが、詳細は公表していなかった。中国が申請準備でどの程度まで進展しているのかは不明だが、当局者は中国が参加に重大な関心を寄せていると見ている。習近平国家主席が昨年11月にTPP参加を前向きに検討すると発言した点を複数の当局者は挙げる。
TPPは中国の台頭とのバランスを取る経済圏として米国が想定した協定だった。2016年に当時のオバマ米大統領は中国ではなく米国がアジア太平洋地域の貿易ルールを策定すべきだと訴えた。その後、トランプ前政権が17年にTPPから離脱したことを受けて日本が主導的な役割を果たし、18年に発効した。
中国の王文濤商務相は3月上旬、「多くの準備作業を進め、幾つかの非公式な接触を行った」と発言。「われわれはこの分野で取り組みを強化している」とも述べた。商務省に協議の進展に関する追加情報を求めたが、返答はなかった。
今年議長を務める日本がどう対応するか
TPP加盟国の多くが中国との貿易に大きく依存しているとはいえ、一部の国では対中イメージがますます悪くなっており、加入がより難しくなる可能性もある。労働慣行や国有企業、経済面の米中対立を巡る懸念も潜在的な障害になる。
加盟11カ国は現在、英国が済ませた参加申請に対応し、中国も依然として要件を精査しているため、中国による申請はまだまだ先となりそうだ。外交当局者の一部によると、中国のさまざまな省庁・政府機関やシンクタンク、学者が参加に必要となる措置を洗い出すためにテキストを分析しているほか、各加盟国の態度を研究している。
TPP加盟国で最も経済規模が大きく、21年の議長国を務める日本には、中国の参加に関して迅速に取り組む意欲は乏しいようだ。当局者2人によると、日本は中国の申請可能性を検討する前に、日中韓3カ国の自由貿易協定(FTA)交渉を妥結させるべきだとの立場だという。
原題:China Steps Up Efforts to Join Trade Pact Created to Exclude It(抜粋)
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著者:Bloomberg News
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