子どもの「ネガティブ発言」否定してはいけない訳 どんな声かけが強い心を育むことにつながるか
子どものネガティブ感情を受け止めたあと、私たち親はどう心をサポートすればよいのでしょうか? それは、「子どもの気持ちを言葉にしてあげる」ことです。
自分の気持ちをあらわした言葉を親からかけられることで、その出来事から少し距離をおくことができ、出来事へのストレスを軽減し、気持ちを楽にしてくれる効果があります。また、子どもは「私の気持ちを正しくわかってくれている。受け止めてくれている」と感じ、傷ついた心を癒やすことができます。
この繰り返しによって、親子の絆が深まり、よい関係性を築いていくことができるのです。私たち大人も不安なとき、イライラしたとき、その気持ちを抑え込まずに、頭の中であっても言語化することで、気持ちが落ち着くことがわかっています。
では次に、実際にあった出来事で、「ネガティブ感情を受け止め、言語化する」ということを、わかりやすく解説してみましょう。
クラス替えでなじめない子にどう接する?
9歳の女の子、あおいちゃんは、学校のクラス替えでいちばん好きなお友達といっしょのクラスになれなかったと落ち込んでいました。学校から帰宅し、しょんぼりと「大好きなお友達と同じクラスになれなかったよ」と言いました。
お母さんは「そう。別のお友達がすぐできるよ。大丈夫よ。別のクラスでも放課後は遊べるでしょ」と答えたそうです。それでも涙ぐむあおいちゃんに、さらにお母さんは「めそめそしていたら、新しいクラスのお友達もできないわよ」と言ったそうです。
お母さんは、別のお友達の存在に気づかせてあげたり、励ましたりするために、そう声をかけたのでしょう。これらのことは前に進むためには大切ですが、お母さんは、その前にいちばん大切なことを忘れてしまっていたといえます。
それは、子どもの気持ちに目を向け、それを受け止めるということ。そして「子どものネガティブな気持ちを言葉にして声をかけてあげる」ことなのです。その言葉が、子どもの気持ちを楽にして、状況を乗り越えるために必要になるからです。
たとえば、残念そうな表情で「さみしいね……大好きなお友達だものね」「一緒のクラスになれなくてがっかりだよね」「違うクラスになって寂しくて心細いよね」、そうお母さんから声をかけられたとしたら、あおいちゃんは、自分の気持ちを理解してもらえたと感じられたことでしょう。また、一歩踏み込んで「今までと違う変化があるって、怖くて不安になるよね」と、直面している出来事の意味を言語化していくことで、子どもは自分の心の整理をすることができます。そこでやっと出来事に対する
ストレスが軽減し、前向きな視点を持てるようになるのです。
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