菅首相、「最低会見」で遠のく五輪開催への道

緊急事態の解除条件示せず、広がる五輪中止論

5月7日に緊急事態宣言の延長などを決め、記者会見する菅義偉首相(壇上中央、写真:時事)

全国的なコロナ感染急拡大を受けて、菅義偉首相が緊急事態宣言の期間延長と対象地域の拡大に追い込まれた。

5月7日夜に記者会見した菅首相は「人流が減ったのは事実」の一点張りで感染抑制の失敗を認めず、新たな期限となった5月31日での宣言解除の条件も明確にできなかった。

野党からは「過去に比べても最低の会見」(立憲民主党幹部)との失望と批判が噴出。2カ月半後に迫る東京五輪・パラリンピックの中止・延期論を一段と加速させる結果となった。

1日100万回の接種は「かなり困難」

菅首相はこの会見で「先頭に立って接種の加速化を実現する」と繰り返した。しかし、目標とする1日100万回の接種を実現することは、「現状ではかなり困難」(政府分科会メンバー)と指摘されている。

五輪参加選手へのワクチン優先接種も打ち出したが、こちらも日本選手の間で特別扱いへの困惑や不安が広がっている。

会見と前後してネット上で始まった東京五輪の中止を求める署名運動にも、わずか数日で数十万筆の署名が集まった。このため、永田町では「誰が中止を言い出すのか」(閣僚経験者)といった観測が飛びかうなど、政局運営での菅首相の求心力低下も際立つ。

菅首相は7日の政府対策本部で、東京や大阪など4都府県に発令中の緊急事態宣言を5月末まで延長することを正式決定。感染が急拡大している愛知、福岡を12日から宣言対象に加えることも決めた。

7日に記者会見した菅首相は、「感染対策の決め手となるのがワクチン。安心した日常の復活は、いかに多くの方にワクチン接種ができるかどうかにかかっている」と力説。「1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に希望するすべての高齢者に2回の接種を終わらせるよう、政府としてあらゆる手段を尽くす」と語った。

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