「人流」分析で明らか「自粛疲れ」「規制効果なし」 「感染の波」「政府の政策」「人流」の連動性を分析

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分析にはグーグルのCOVID-19 Community Mobility Reportsの各種移動データ (2020年2月15日~21年4月21日)を用いた。グーグルのレポートはご覧になった方も多いと思うが、場所を「食料品店、薬局」「公園」「乗換駅」「小売・娯楽」「職場」「居住地」に分けている。各種移動データがどの要因で変化したのかを探ることが目的である。なお、現下の緊急事態宣言は始まったばかりなので、4月の「まん延防止等重点措置」までデータを取っている。以下を説明変数とする重回帰モデルを作成した。

・感染者数:前日に確認された新規検査陽性者数<7日移動平均>(第1波~第4波)
・第1回緊急事態宣言:2020年4月16日~5月24日を「1」それ以外を「0」
・第2回緊急事態宣言:2021年1月8日~3月20日を「1」それ以外を「0」
・ Go To トラベル:2020年7月22日~12月27日を「1」それ以外を「0」
・まん延防止等重点措置:2021年4月5日~4月21日を「1」それ以外を「0」
・曜日:祝日と土日をそれぞれ「1」平日を「0」
・年末年始:2020年12月28日~2021年1月7日を「1」それ以外を「0」

重回帰分析の結果はあくまでも相関関係を示すものであり、因果関係を示すものではない。 しかし、例えば「感染者数」と「自粛行動」に正の相関があるのであれば、それは「感染者数が増えたから自粛が増えた」と考えられるだろう。 「自粛が増えたから感染者数が増えた」という「逆因果」の可能性は定性的にかなり低いからだ。 同様に、「感染者数」と「自粛行動」に負の相関があれば、それは「自粛が増えたから感染者数が減った」と考えられる。これも「逆因果」は考えにくい。 そして、相関がなければいずれの因果関係もないと言える。

感染者数の動向を人々は気にしなくなっている

なお、内閣府の『令和2年度年次経済財政報告』(経済財政白書、2020年11月)は、移動データと感染者数のデータについて時間差を考慮したモデル(VARモデル)による検証を行った結果、「外出率の低下は新規感染者数に有意に影響を及ぼさず、感染者数の増加が外出率を低下させる」という関係性があると示している。この結果は、以下の筆者の分析の結果と一致する。 そして、「感染者数の増加が外出率を低下させる」影響も、最近ではかなり低下していることがわかった。

次ページ行動制限が「人流」に及ぼす影響も限定的に
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