(中国編・第七話)日本は今でも軍国主義か

日中共同世論調査・2005年
以下の表は、言論NPO、チャイナデイリー、北京大学・国際関係学院による日中共同世論調査を抜粋したもので、2005年に実施。質問・回答は、一部を除き原文のまま掲載。上記以外の調査結果、および2006年、2007年の結果は、言論NPOのWebサイトをご参照ください。
http://www.genron-npo.net/forum_tokyopekin4/002932.html

(中国側回答) (日本側回答)
【質問1-C】日本に対して全体的にどんな印象を持っていますか 【質問1-J】中国に対してどのような印象を持っていますか
回答 回答数 割合
よくない 858 44.3%
普通 446 23.0%
たいへんよくない 361 18.6%
よい 213 11.0%
どちらもいえない 26 1.3%
答えない 22 1.1%
たいへんよい 12 0.6%
回答 回答数 割合
どちらともいえない 468 46.8%
どちらかといえば良くない印象を持っている 309 30.9%
どちらかといえば良い印象を持っている 126 12.6%
大変よくない印象を持っている 70 7.0%
良い印象を持っている 25 2.5%
無回答 2 0.2%
【質問2-C】現在の日本社会を主導する政治思想とは何だと思いますか 【質問2-J】現在の中国社会の政治思想の流れとして、当てはまるものはなんだと思いますか。
回答 回答数 割合
軍国主義 1169 60.3%
民族主義 959 49.5%
国家主義 661 34.1%
自由主義 397 20.5%
どちらともいえない 329 17.0%
国際協調主義 270 13.9%
平和主義 229 11.8%
その他 16 0.8%
答えない 9 0.5%
※複数回答
回答 回答数 割合
共産主義 722 72.2%
軍国主義 357 35.7%
大国主義 330 33.0%
国家主義 321 32.1%
経済中心主義 209 20.9%
覇権主義 118 11.8%
資本主義 64 6.4%
民主主義 34 3.4%
国際協調主義 30 3.0%
平和主義 18 1.8%
その他 8 0.8%
※3つまでの複数回答
【質問3-C】「日本」と聞くと、第一印象は何ですか。 【質問3-J】「中国」と聞いたときに、思い浮かべるものは何ですか。
回答 回答数 割合
南京大虐殺 971 50.1%
日本の家電製品 897 46.3%
中国を侵略した日本軍 730 37.7%
624 32.2%
富士山 347 17.9%
和食 317 16.4%
靖国神社 284 14.7%
魚釣島(尖閣諸島) 227 11.7%
広島の原爆 222 11.5%
経済・科学技術の発達 179 9.2%
日の丸 154 7.9%
武士道 112 5.8%
漫画 108 5.6%
茶道あるいは相撲 94 4.9%
新幹線 24 1.2%
明治維新 19 1.0%
カラオケ 18 0.9%
バブル崩壊 14 0.7%
対中援助(ODA) 9 0.5%
平和憲法 9 0.5%
※複数回答
回答 回答数 割合
中華料理 881 88.1%
万里の長城 848 84.8%
反日感情、反日デモ 708 70.8%
天安門事件 649 64.9%
莫大な人口、一人っ子政策 637 63.7%
安価な日用品 592 59.2%
揚子江(ようすこう)長江(ちょうこう)や黄河の風景 518 51.8%
日中戦争 504 50.4%
共産党、共産主義 503 50.3%
北京五輪 477 47.7%
所得格差 372 37.2%
経済成長、経済の過熱 352 35.2%
文化大革命 338 33.8%
元(通貨) 305 30.5%
上海などの高層ビル群 291 29.1%
軍事力、人民解放軍 290 29.0%
国連安保理常任理事国 282 28.2%
儒教や道教などの古典 246 24.6%
対中援助(ODA)(高速鉄道の建設) 196 19.6%
将来のアジアの中核大国 195 19.5%
日本にとっての脅威、覇権(はけん)主義 183 18.3%
言論統制 179 17.9%
西部地区の開発 28 2.8%
その他 25 2.5%
※複数回答
【質問4-C】現在の日中関係をどう思いますか。 【質問4-J】現在の日中関係をどう思いますか。次の中から1つだけ○をつけてください。
回答 回答数 割合
よくない 884 45.6%
普通 594 30.7%
よい 194 10.0%
たいへんよくない 180 9.3%
どちらともいえない 53 2.7%
答えない 24 1.2%
たいへんよい 9 0.5%
回答 回答数 割合
あまり良くない 617 61.7%
普通 237 23.7%
まったく良くない 123 12.3%
まあ良い 20 2.0%
無回答 2 0.2%
大変良い 1 0.1%
【質問5-C】日中関係がよくない、あるいは大変よくないと考える場合、その理由は中日のどちらに責任があると思いますか。 【質問5-J】日中関係がよくないのは、日本と中国のどちらに責任があると思いますか。次の中から1つだけ○をつけてください。
回答 回答数 割合
大半は日本に責任がある 503 47.3%
すべて日本に責任がある 489 46.0%
日中半々くらいの責任がある 43 4.0%
どちらともいえない 24 2.3%
大半は中国に責任がある 3 0.3%
答えない 2 0.2%
すべて中国に責任がある 0 0.0%
回答 回答数 割合
どちらともいえない 336 45.4%
どちらかと言えば中国側に責任があると思う 220 29.7%
どちらかと言えば日本側に責任があると思う 86 11.6%
中国側に責任がある 74 10.0%
日本側に責任がある 21 2.8%
無回答 3 0.4%
【質問6-C】「日中共同声明(1972年)」を知っていますか 【質問6-J】「日中共同声明(1972年)」を知っていますか
回答 回答数 割合
知らない 1510 77.9%
知っている 372 19.2%
答えない 56 2.9%
回答 回答数 割合
知らない 542 54.2%
知っている 427 42.7%
答えない 31 3.1%
【質問7-C】「日中平和友好条約(1978年)」を知っていますか 【質問7-J】「日中平和友好条約(1978年)」を知っていますか
回答 回答数 割合
知らない 1321 68.2%
知っている 553 28.5%
答えない 64 3.3%
回答 回答数 割合
知っている 655 65.5%
知らない 328 32.8%
答えない 17 1.7%
【質問8-C】日本の中国に対する経済援助(ODA)を知っていますか  
回答 回答数 割合
知らない 1508 77.8%
知っている 314 16.2%
答えない 116 6.0%
 

 中国人の意識は、「日本人に親近感はない」が62.9%(質問1-C)、「現在の日中関係がよくない」とする人は54.9%(質問4-C)でその9割が「責任は日本にある」と回答している(質問5-C)。また、日本人への第一印象では「南京大虐殺」を挙げる人も半数を超え(質問3-C)、日本の国民性についても「残酷、戦うことが好き」が42.3%と最も多い。
 だが、日本側の参加者がショックを受けたのは、「現在の日本の中心的な政治思想」で、6割を超す人が「軍国主義」と答えたことだ(質問2-C)。戦後60年余りを経て、日本では当たり前のように考えられている「平和主義」などの認識は今の中国人にほとんどないのである。こうした認識や基礎的な理解の不足は日本人の中国観にも同様に表れている。

 問題は、こうした状況がなぜ放置されているのか、という点である。
 調査結果では、日本と中国は近隣でありながら、国民レベルでは最も遠い国であるという実態が鮮明になっている。ほとんどの国民は相手国に訪問した経験もなく、知人もおらず、その認識のほとんどを自国のメディアの情報に依存しているだけである。中国ではさらに教科書、書籍などがそれに続いている。
 中国での反日デモの直接の契機は日本の首相の靖国参拝にあるのは確かだが、その背景にはこうした両国の閉鎖構造がある。直接的な交流の圧倒的な不足やメディア報道がそうした国民間の未熟な相互認識をさらに作り上げていたのである。

   壇上から降りた後、多くの出席者が、「この状況はかなり危険だ」と言うのを私も耳にしている。民間で始まった日中対話は、こうした認識を共有するところから、議論を始めることができたのである。
  (毎週更新予定)    
工藤泰志
工藤泰志(くどう・やすし)
言論NPO代表。
1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。
東洋経済新報社で、『週刊東洋経済』記者、『金融ビジネス』編集長、『論争 東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。
言論NPOとは
アドボカシー型の認定NPO法人。国の政策評価北京−東京フォーラムなどを開催。インターネットを主体に多様な言論活動を行う。
各界のオピニオンリーダーなど500人が参加している。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 就職四季報プラスワン
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
世界のエリートは<br>なぜ哲学を学ぶのか

この世界はどこへ向かおうとしているのか。難問に立ち向かうためにエリートたちが頼りにし始めたのが哲学だ。ビジネスの現場でも使える最新哲学入門。今日から使える10の哲学用語解説と、今読むべき哲学本20冊の紹介も。