(中国編・第七話)日本は今でも軍国主義か

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調査は一般国民と知識層の意識も比較するため、中国では六大都市の1938人による面談方式の世論調査に加え、北京大学や清華大学など北京にある六大学の大学生のアンケート調査(サンプル数1100人)が行われ、日本側も全国的な世論調査(サンプル数1000人)の他、私たちのNPOの議論活動に参加している有識者にもアンケート(回答者400人)を行った。
調査自体は両国の専門機関に委託したが、この世論調査の設問をつくり、日本だけではなく中国側の調査結果の分析や作図を行う。また発表用のデータ集も準備するのが、私たちの仕事となった。
非営利組織の私たちにとっては気の遠くなる膨大な作業である。

そのほとんどの作業は大学生や大学院生などのインターン10人がまさに徹夜作業で行ったものである。北京大学の教授とデータ分析などで毎日のように電話での交渉を続け、他の学生はデータの吟味や結果の作図、クロス分析などの作業に没頭した。
北京大学の担当教授は日本側の作業を行っているのは、日本の大学生だとは最後まで気がつかなかったらしい。彼から送付される電子メールには学生の名前の前にドクターの敬称がついていた。

その膨大な作業がなんとか終わったのは、北京に着いた後のフォーラム前日の朝だった。中国側にその資料を見せて説明するとチャイナディリーの張平氏はこう言う。
「これでいこう」
全体会議で公表する日中世論調査のデータ資料の翻訳と配布分の印刷が始まり、その作成が終わったのは、深夜だった。

翌日、中国の要人も含め会場の参加者にその資料が初めて配られた。世論調査という、もっとも神経質になる資料が、北京での日中対話の立ち上げの舞台で初めて公表された。その説明で私が壇上に立った時に、会場の雰囲気が変わるのが、すぐ分かった。居並ぶ中国側の要人も日本側も資料に目を落とし、真剣に見入っていたからである。
なぜ、会場の雰囲気が変わったのか。資料にはお互いの国民の中にある相手国に対する不信や、無理解の深刻さが示されていたからだけではない。そうした実態がなぜ作られているのかに対しても調査結果は重大な示唆を与えていたからだ。

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