休みとれず疲弊…教員追い込む土曜授業の悲惨 管理職や自治体はもはや考える気がない?
では、振替がなされない土曜授業は、どのような法的問題があるのか。
埼玉大学教育学部の髙橋哲准教授は「労基法では週40時間を上限としているのに対して、月曜日から金曜日まで通常勤務を経たうえでさらに土曜に出勤をしている。通常授業としての土曜授業は超勤4項目に該当しないため、労働基準法32条違反になる」と指摘する。
・校外学習など生徒の実習
・修学旅行など学校行事
・職員会議
・災害など緊急事態
本来、時間内や休日労働をすれば、労基法37条に基づき割増賃金が支払われるはずだが、公立教員に適用される「給特法」に基づき37条は適用除外され、4%の「教職調整額」のほかには時間外勤務手当を支給しないとされている。
自主的だったという言い逃れ
しかし、過去には、振替ができなかった日について給与相当額の支給が認められた裁判例もある(広島地裁平成17年06月30日判決)。
この裁判は、学校週5日制になる前の第1・3・5土曜日の勤務について休日指定を受けられなかったなどとして、広島県の県立高教員4人が休日勤務手当などを支払うよう求めた事件だ。
A教員は小規模校で教員の数が少なかったため、休日指定の申告をせず、校長から休日指定を申告するよう指導されることもなかった。また、別の学校に勤務していたB教員も、授業や校務のため、休日指定がされても実際には勤務をすることが多く、校長が休日指定をせずに放置していることも多々あった。
判決は、A教員とB教員の勤務について、「休日指定を受けられなかったことにより、時間分の給与に相当する額の損害を被ったと言える」とし、当時の1時間あたりの給与額を基準として計約24万2千円の支払いを命じた。
高橋准教授は「休日労働で振替させていない部分について給与が不払いになっているのは、給特法のもとでも違法性が高い」と話す。
「振替日の出勤は教員側としてはやむをえないことになっていると思うが、使用者側としてはそこに乗っかり自主的だったという言い逃れをしてきた。教員はまず40時間を超えた土曜授業をさせられていること自体が、違法状況にあるということを知ることが大事だと思います」
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