休みとれず疲弊…教員追い込む土曜授業の悲惨 管理職や自治体はもはや考える気がない?

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新型コロナの影響で土曜授業が始まった学校もある。文部科学省の調査によると、コロナのために2020年6〜8月に土曜授業をおこなったのは、小学校12%、中学校13%、高校30%だった。

コロナで土曜授業が始まったという東海地方の別の高校教員は「週5日が週6日になるだけでかなりの負担増です。代休でも実質休めていない先生は3割くらいいる」と話す。

「土曜授業があると振替申請書が配られ、管理職に振替日を提出することになっています。ただ、職員室のボードには代休と書いてあるのに、その先生が職員室にいることはままあります。教員としては『一応申請はするけど仕事があるのでまさか休めるはずがない』という認識だと思います」

代休だったはずの教員に対し、誰かが「今日休みじゃなかったの?」と声をかけることもないという。

「当たり前に来ているから、誰かが何か言うこともないですね。書類上代休を消化してくれれば、来ても来なくてもどっちでもいい。タイムカードと見比べると確認はできますが、好きで来ている扱いになるのだと思います」

振替なき土曜授業「コロナ以前から問題だった」

「土曜授業はコロナだから起きた問題ではなく、コロナ以前から問題だった」と話すのは、教育研究家の妹尾昌俊さんだ。

2020年6月、自身のSNSで公立教員を対象に「2019年度の土曜授業の振替取得」について呼びかけたところ、すべて振替を取得したと答えたのは、小学校教員で約65%、中学校教員で約37%、高校教員で約29%だった(回答者数は小学校133、中学校51、高校17)。

妹尾さんは「本来振替が取れないとおかしい話。SNSで呼びかけたためサンプリングも少なくバイアスがかかっている可能性があるが、こうした実態があるならもともと土曜授業には無理があったことを問い直さないといけない」と指摘する。

「土曜授業の狙いは自治体によって違うと思いますが、進学実績の向上や学力テスト対策をアピールする目的もあると思います。一概に良い悪いは言えませんが、教員のワークライフバランスや子どもたちへの負担も考えないといけません。教育上の効果があるのかないのか、生産性度外視で安易に授業時間増に頼るのは見直すべきでしょう」

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