米名門大飛び級の脳科学者に学ぶ集中の高め方 「一点集中」だけじゃない!意識すべき4モード

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下記の図は、インペリアル・カレッジ・ロンドンのロバート・リーチ教授らによって研究された、人間の注意の研究をもとに、集中の4つのモードにあるときの脳の働きを図式化したものです。

(画像提供:KADOKAWA)

まず、真ん中にある図は脳が覚醒していない状態。「5つ目のモード」という解釈もできますが、眠っているときなど、まったく集中していない状態をイメージしてください。

そして、図の左側が注意の対象を自分の内側に向けているモード、右側は自分の外側に向けているモードで、上半分は注意の幅が広く、下半分は注意の幅が狭い状態になります。つまり、右下が「外に、狭く」の入門集中、左下が「内に、狭く」の記銘集中のモードで、右上が「外に、広く」の俯瞰集中、左上が「内に、広く」の自在集中となるわけです。

色分けについては、ブルーになっている脳の部位は活発に活動していることを表し、グレーになっているところは活動していない状態にあることを示しています。

ただし、ここで注意したいのは、この図は脳全体の働きを再現したものではなく、後部帯状回(PCC)と呼ばれる脳の部位の活動状態にフォーカスを当てたものだということ。PCCは「デフォルトモード・ネットワーク」の働きを司る中心的な部位です。

デフォルトモード・ネットワークは、「タスク・ネガティブな脳の状態」とも言われ、あれをやろう、これをやろうと意識的にタスクをこなそうとしていないときに機能し、自分の内側にある記憶や経験を使い(記憶ドリブン)、さまざまな情報を処理してくれます。

覚醒はしているものの休息状態であり、外側の世界ではなく自分の内側にある世界に注意を向けた状態です。

PCCが働くように導けると成果が期待できる

最新の研究によると、デフォルトモード・ネットワークを司るPCCはクリエーティビティーを発揮するとき、イマジネーションを膨らませるときの起点となっていることがわかっています。つまり、新しいアイデアを出したいとき、人と差がつく発想をアウトプットしたいとき、PCCがうまく働くように導くと成果が期待できるわけです。

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そこで、右下の図に注目してください。ここは「外に、狭く」の入門集中モードに当てはまり、これは一般的にイメージされる集中力(例:新しい情報に向き合い、仕事や勉強に打ち込んでいるモード)です。ところが、PCCはグレーに色づけされています。つまり、デフォルトモード・ネットワークは不活性化しており、発想とは正反対の脳活動と言えます。

考えてみるとこれは当然で、「外に、狭く」の入門集中モードのときに働いているのは、意識的に物事に注意を向け、タスクをこなす「セントラル・エグゼグティブ・ネットワーク」です。

もちろん、入門集中は新たな物事を学ぶときの起点となる重要な集中力です。ただ、あえてここでPCCに注目した4つの集中モードの図を載せたのには、意図があります。それは、あなたが集中力について考えるとき、「外に、狭く」の入門集中に偏っているイメージを手放し、古い常識から解き放たれてほしいからです。

右上、左上、左下の3つの集中のモードはあまり知られておらず、その働きをしっかりと自覚している人は多くありません。でも、この部分にこそ、あなたが集中力について抱えている悩みを解決するヒントがあるのです。それぞれの集中の状態は異なり、できる情報処理の内容も違います。しかし、どの集中のモードにも意味があり、役立つものです。まずはその認識を持って、集中力について視野を広げて捉えていきましょう。

4つの集中のモードは、どれか1つだけを使えればいいのではなく、右下の「外に、狭く」の入門集中を起点にしながら、ほかの3つをうまくコラボレーションさせ、活用していくのが理想的です。自分の中で集中のモードを切り替え、行ったり来たりしながら使っていくことが、効率的な学びや成長につながります。

青砥 瑞人 脳・神経科学者、DAncing Einstein代表

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あおと みずと / Mizuto Aoto

日本の高校を中退後、渡米。米国のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にて神経科学を学び、2012年に飛び級卒業。帰国後、2014年にDAncing Einsteinを設立。脳×教育×ITの掛け合わせで、世界初の「NeuroEdTech」という分野を立ち上げ、多数の特許を取得。脳神経科学の最先端の知見を人材開発や教育の分野に応用するプロジェクトを多数手がける。ヒマさえあれば医学論文を読み漁る脳ヲタクでもある。

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