「自由と民主主義の実験場」アメリカの夢と悪夢 サブカルチャーにある「超大国の憂鬱を解く鍵」

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「70年代は今日のアメリカが生まれた場所なんだ」と語るカート・アンダーセン(写真:NHK)
映画作品と当時の記録映像などから、アメリカの1970年代を考えた歴史エンタメ・ドキュメント「世界サブカルチャー史 欲望の系譜 アメリカ幻想の70s」(NHK BSプレミアム)。新春恒例となった異色の教養エンタメ「欲望の資本主義」シリーズでも2021年1月の番組で、70年代前半が現代経済の構造を規定する変化の端緒であった可能性が指摘されたが、今回はサブカルチャーの視点から70年代アメリカの「憂鬱」を解き明かす。
また、「欲望の資本主義」シリーズ最新の「欲望の資本主義 特別編 コロナ2度目の春 霧の中のK字回復」では、コロナ禍での異常事態の内実を世界の知性たちと共に考える。
2つの番組の見どころを番組を企画したNHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブプロデューサーの丸山俊一氏に伺った。

「空白の70年代」はサブカル的には「豊穣の70年代」

戦後アメリカの歴史を語るとき、1970年代は、ひとまず教科書的な記述に倣えば、「激動の60年代」に対して、「空白の70年代」「不毛の70年代」とも言われてきた。

しかし、政治、経済、社会など、言わば「表」の事件、事象だけでは、時代の空気は見えてこない。オルタナティブな文化、表現にも目を凝らせば、事情は違ってくる。

たとえば、映画の世界。ルーカス、スピルバーグ、コッポラ、スコセッシ……、後にアメリカ映画の一つの時代を作るような若手監督が次々に話題作、問題作を発表しており、「豊穣の70年代」なのだ。

69年公開ながら70年代の問題の構図を予感させる「イージー・ライダー」に始まり、「ゴッドファーザー」「ジョーズ」「未知との遭遇」「サタデー・ナイト・フィーバー」「ディア・ハンター」「タクシードライバー」「地獄の黙示録」と続くこうした70年代の作品から、どんな時代が感じ取れるか?

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