「自由と民主主義の実験場」アメリカの夢と悪夢 サブカルチャーにある「超大国の憂鬱を解く鍵」
目指される感染収束、経済の回復、そしてワクチンの攻防戦などを通して、中国との対立はいよいよ激しさを増している。その構図はコロナ以前から、「新たな冷戦」として歴史学者ニーアル・ファーガソンが指摘してきた通りだ(『欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン 不確実性への挑戦』東洋経済新報社)。
中国の「社会主義市場経済」が、パンデミックという生命の問題まではらんで世界で存在感を高めていくとき、それはアメリカ型「民主主義」「資本主義」とは何だったのか?という問いへと直結していく。「新自由主義」的なこの数十年の流れは今風向きを変えつつあるが、「民主主義」と「資本主義」のバランスが崩れた状態からの修復には、時間がかかりそうだ。
内憂外患というところだが、いよいよ「自由」とは?「市場」とは?という原点に立ち返る根本的な問いが浮かび上がる。そして、その原初の精神をかみしめてこそ、時代に適合する更新も可能になるはずだ。
「欲望の資本主義 特別編 コロナ2度目の春 霧の中のK字回復」(NHK BS1)では、こうしたアメリカの状況も踏まえつつ、新春の放送から4カ月、コロナの中での異常事態の内実をつぶさに考える。
新春恒例の企画の特別編としてコロナ後の世界を観測、世界の知性たちとともに考察する。高騰を続けるアメリカ株式市場は、相変わらずデジタルテクノロジー主導で支えられているが、このGAFAMを「インフラ」とする経済構造そのものに死角はないのか?
未来の「夢」への期待、無形資産という「夢」の商品化で走るアメリカ。コロナが国家の役割をクローズアップさせる国際状況の中で、国境を軽々と越えていく巨大プラットフォーマーたちは、アメリカの「自由」「市場」のあり方にどんな影響を与えるのか? そして中国との関係性は?
株式市場高騰の陰で何が起きているのか?
番組では、もちろん日本の現状も考える。様々な施策と自助努力で持ちこたえてきた企業の「息切れ倒産」と言われる状況が徐々に露呈し、中小ばかりでなく老舗大手でもこれからいよいよ苦境に立つところが増えるとの見方がある。その一方で、倒産件数自体はむしろ減っているが、逆にそのことが経済的な停滞を生んでいるとの指摘もある。帝国データバンク情報部員の動きなどを追い、その実態、業態転換による生き残りの現実なども追う。
バブル以来の高値を記録した株式市場は活況を呈しているが、崩壊の足音も忍び寄っているとの指摘もある。国家が市場を支えるという有事の緊急措置が今や常態化するねじれた状況を見据え、どう動くか? その時、経済の、資本主義の行く末は?
アメリカでも日本でも生まれている、ねじれ、歪な不気味さ。「ファンタジーランド」=アメリカは、戦後数多くの日本人たちを魅了してきた。そこには光もあれば影もあり、功罪見え隠れする。アメリカの「本質」を見極めるためには、さまざまな角度から照らし出すことが必要となる
「表」からは経済、「裏」からはサブカルチャー……、というわけだが、実は、そこには、「表」も「裏」もなく、その関係性もまた反転しうるものなのかもしれない。
時代が織りなす夢が人々を動かし、その夢がまた時代を作る。めくるめく反転が繰り返される中で、また新たな欲望の形が生まれようとしている。
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