「自由と民主主義の実験場」アメリカの夢と悪夢 サブカルチャーにある「超大国の憂鬱を解く鍵」

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日常に夢が侵食する場所。アメリカを象徴する理念とは、まさに「夢」だとも言いうるのかもしれない。「自由と民主主義の実験場」とは、アメリカという国のありようを表現する際によく用いられるレトリックだが、「自由」にせよ、「民主主義」にせよ、人々が形作る理念であり、その理念によって生み出される「夢」の具現化に他ならない。「開拓者」たちが作った国の礎は、その「夢」を信じることで担保されるのだろう。

そしてその「夢」はまた、資本主義の社会にあっては、「商品」という側面も持つ。アメリカンドリームは、素晴らしい「理念」であり、欲望を喚起する「商品」でもある。それは、人々を魅惑する力であり、時に空回りすれば悪夢に転じる、両義性を持つものだとあらためて思う。その推進力を「夢」の実験に賭ける国、それがアメリカなのだ。

『ファンタジーランド:狂気と幻想のアメリカ500年史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そんなことをずっと漠然と考え続けていたときに、まさにその邦題からして実感にフィットする一冊の書籍に巡りあったのは2019年のことだ。『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』。宗教とビジネスが、テクノロジーとファンタジーが、不思議な融合を遂げる超大国をファンタジーランドと評した本書は、まさにアメリカという国の形を、彼の地に生きる人々が見る「夢」の歴史として捉え、解剖したものだと言えるだろう。

著者である作家カート・アンダーセンは、過去にはニューヨークマガジンの編集長も務め、ラジオ・パーソナリティもこなす洒脱なニューヨーカーだ。そこには、矛盾の中にあるアメリカへの、そこに暮らす人々への、愛ある「自己批評」がある。

アメリカの「自由」を、世界と日本はどう解釈する?

カート・アンダーセンと哲学者マルクス・ガブリエルとの対談は、「欲望の時代の哲学2020 マルクス ガブリエル NY思索ドキュメント」(NHKEテレ/DVD)、「マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る」(NHK出版新書)に所収。

アンダーセンには、昨年春、ニューヨーク滞在中の哲学者マルクス・ガブリエルに、現代社会の抱える閉塞感を解剖する企画(「欲望の時代の哲学2020 マルクス ガブリエル NY思索ドキュメント」NHKEテレ/DVD)の際にも、対談相手の一人となってもらった(「マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る」NHK出版新書所収)。

「自由」の世界への拡張。そうした自国の姿勢を批評的に語るアンダーセンと、そのアメリカに第二次大戦で敗れたドイツに生まれ育ったガブリエルとの言葉の応酬は、実に興味深いものだった。

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