コロナ禍も「生活保護は嫌」申請者の葛藤と現実 素直に申し出る人は2割、自治体の対応にも問題
――生活保護の申請書はダウンロードしたものも、もちろん認められますよね。
田川「つくろい東京ファンドの『フミダン』は23区ならファックス申請ができるようになっている。この間の神奈川区は、申請書を前もって渡してはいないと断ってましたが、新聞広告の裏にでも保護申請書と書いて出せばいいのです。
決まった書式じゃなくていい。書き直せとか、これでは受け付けられませんという自治体もあるけれど、それは間違いです」
生活保護を申請できるように何をすべきか
――私たちは生活保護を申請できるように、これから何をすべきですか。
田川「生活保護を利用しても恥ずかしいことではないという雰囲気を作っていただけたらと思います。恥ずかしいと思っている人がいたら、そんなことはないと発信していただけたらいいなと思う。
そしてとくに若い世代には、政治に関心持ってほしいです。政治家が生活保護バッシングしてきたので、さらに悪いほうにいってしまった。日本の若者は主権者教育を受けていないので、困ったときにどうしたらいいのかを教えてもらっていないのです。だからSOSが出せない。出したらいけないと思わせられている。
生活保護を利用してもらうためには、行政が相当頑張って宣伝しなきゃいけない。韓国のように『あなたも生活保護利用できます』とソウルの地下鉄に張り出したり、バスのつり広告やYouTubeで配信したり、それが国の役割ですよ」
生活保護は国民に与えられた権利。日本人は権利に疎い国民でもあるが、自分の力で生活ができない人は、老いも若きもなく公助に頼ろう。生活保護を受けやすくして補足率を上げていくことこそが国の責務だと思う。
(ルポライター・樋田敦子)
田川英信(たがわ・ひでのぶ)さん。社会福祉士。生活保護問題対策全国会議事務局次長。元世田谷区生活保護担当、15年以上生活保護行政に携わる。
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