家庭の鶏肉「ジューシーに焼き上げる」簡単ワザ 「強火」と「弱火」で仕上がりを比較してみた

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Aの方法で焼き目をつけたあと、フライパンにフタをしないで焼いた場合でもあまり皮にはパリッとした食感が残らず、身のほうもかなり固めに仕上がります。

AとBを比べて、見た目ですぐにはっきりわかるのは鶏肉の大きさです。ほぼ同じ大きさのものを焼いたにもかかわらず、Aはひと回り小さくなっていました。特に皮の縮みが大きくなります。

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やはりチキンソテーとしては、Bに軍配があがると思います。

Bの方法は、まず鶏肉(モモ肉か胸肉1枚)に塩をして(肉の重さの0.8%=200gなら1.6g)、冷たい油を少しひいたフライパンに皮目を下にしてのせ、それからコンロに火をつけて、最初は弱めの中火で焼き始めます。

油が跳ね始めたら火を弱火に落とし、肉から出てくる脂をペーパーで拭き取り、そのまま触らず肉の厚みの7割まで火が通ったら裏返してさらに2〜3分焼くというもの。

苦手だという人が多い鶏の皮も、この方法で焼けばパリッとして、中はわずかにピンク色が残るジューシーな仕上がりになります。

皮がパリパリ、中はしっとりのチキンソテーの作り方

材料
●鶏モモ肉(または胸肉)……1枚
●塩……肉の重さの0.8% ●サラダオイル……5g(小さじ1)
作り方
①肉の両面に均等に塩をふる。塩をふってから時間をおくと、浸透圧で肉の水分が外に出てしまうので、すぐに焼くこと。

②冷たいフライパンにサラダオイルをひき、塩をふった肉を皮を下にしてのせる。

③「弱めの中火」(目安)で点火してから、肉がのったフライパンを火にかける。

④30秒ほどすると、「シュー」という音がし始める。30秒たってもまったくこの音が聞こえてこなかったら火が弱すぎるので、少し強める。

⑤やがてパチパチという音が聞こえ始める。油がフライパンの外に跳ねだしたらフライパンは180度前後に上がっており、皮に焼き目がつく温度になっているので、火を少し落として弱火にする。弱火といっても、「油が外に跳ねるのはおさまるが、パチパチという音がキープできる火力」を維持する。シューという音しかしない場合は温度が低すぎる。

⑥この段階で、出てきた脂、よぶんな水分をキッチンペーパーで拭き取る。(④の「シュー」といっている段階で油を拭き取ってしまうと、「パチパチ」という音がしないため、温度が上がっていることを見極めにくくなる。)

⑦そのまま加熱を続け、肉の高さの7割まで色が白く変わるまで焼く。焼いている間に、肉をときどき持ち上げて皮とフライパンの間に水分がたまっていたらキッチンペーパーで拭き取る。それによって、皮が蒸れてしんなりしてしまうのが防げる。

⑧反転して2分ていど焼く。肉の側面を菜ばしの後ろなどで軽く押して、押し返す弾力があれば火が通っている。

⑨好みでコショウをふって完成。
水島 弘史 シェフ・料理科学研究家

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みずしま ひろし

シェフ・料理科学研究家。1967年、福岡県生まれ。
大阪あべの辻調理師専門学校および同校フランス校卒業後、フランスの三ツ星レストラン「ジョルジュ ブラン」を経て、東京・恵比寿のフレンチレストラン「ラブレー」に勤務、1994年より3年間シェフを務める。その他、視野を広げるべくさまざまな食産業の分野で働き、2000年7月、恵比寿にフレンチレストラン「サントゥール」を開店。後に「エムズキッチン サントゥール」と改め、2009年4月まで営業。また、1994年から料理教室の講師も務め、自店開店以降は、レストランと同時に料理教室も開催する。2004年から科学的調理理論を取り入れた独自の調理指導を始め、2010年に麻布十番に場所を移し「水島弘史の調理・料理研究所」を開く。大学、企業の研究所にもデータを提供、新メニューの開発や調理システムに関するアドバイスも行う。

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