東武大師線、乗車2分の「超ミニ路線」に長い歴史

わずか1km、巨大無人駅へ「草だんご列車」が走る

若手駅員時代、西新井駅で勤務していたという神崎駅長は、全盛期の大師前駅のにぎわいの思い出を語ってくれた。

大師前駅コンコース。改札機がなく広々としている(筆者撮影)

「それはもうすごいお客さんですよ。ホームの整理や誘導には本社から応援が来てくれて、西新井の駅員は大師前駅の臨時窓口できっぷを売るんです。あらかじめきっぷを買ってくださいとご案内をしていても、次から次へとお客さんがやってきて、本当に休むヒマもないくらい。朝からずーっと1日中売っていて、途切れることがありませんでした。参道は……見に行ったことはなかったですね。行ったら戻って来られませんから(笑)」

ところが、そんな参拝路線もお客の数は年々減少しているという。昭和末期、大師前駅の乗降客は1日あたり2万8000人ほどあった。しかし、今では約半分にまで減ってしまった。西新井大師に限らず、全国的に初詣の参拝客は減少傾向にあるという。当時、臨時窓口を5カ所開けていたところ、現在では1カ所にまで少なくなった。IC乗車券を使う客が増えたこともあるが、それにしてもお客の数そのものが減っているのだ。

減ったのは参拝客だけでない

「沿線には東京マリンという大きなプールもありましてね。もうなくなってしまったのですが、夏にはそこに来るお客さんの利用もありました。参拝のお客さんにしても、やっぱり少なくなっていますよね。高齢の方が増えて参拝が大変になっているのかもしれないし、レジャーも多様化していますからね」

そうしたところに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスだった。参拝客、すなわち大師線の利用者の減少を少しでも食い止めるべく、神崎駅長たちは西新井大師の参道のひとたちとともに新たな取り組みをはじめている。

大師線と西新井大師の参道をPRする「草だんご列車」のポスター

「それが草団子列車なんです。大師線を走る車両の1つに緑色の塗装のものがありまして、それが西新井大師名物の草団子の色とよく似ている、ということで。参道の団子屋さんにお声がけして、『草団子列車ってどうですか?』と。そしたら皆さん喜んでくださって。もちろんコロナもあるのでどんどん来てくださいとは言いにくいのですが、それで少しでも盛り上げていきたいと思っています」

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