漁民を海洋問題に投じる中国にどう対応するか 海警法始動で国際社会はハイテク・ゲリラ戦に

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海警は「管轄海域」の実効支配化を進めるだけでなく、中国が世界の海で軍民融合戦略を実施するためのハブ機能も担う。海警法ではこれまで国務院が担当していた各種海洋行政の現場監督権が海警に委譲された。それには海域使用、海島保護、無人島開発利用、海洋鉱物資源探査開発、海洋科学調査などがある。

また、漁業改革で中大型漁船の操業区域と決まった底曳網漁業禁止区域線以遠(公海含む)の漁業監督も海警に引き渡された[12条5項、7項]。非常時の民間資産の徴用[54条]や情報技術開発による人民へのサービス提供[57条]も海警の任務となった。53条では、各レベルの「国土空間長期計画」を編制する国務院と地方政府に海警への協力が義務化された。

海警法がスピード採択・施行された意味

新たな国内分業を踏まえ、中国の今後の行動計画はどうなるのか。実は海警法は、それについても多くのヒントを提示する。上述の行政分業のうち、「海域使用、海島保護、無人島開発利用」には法律等で長期計画の策定が定められている。かつては国家海洋局がこれを担当し、例えば南シナ海スプラトリー諸島の埋め立ては第1次全国海島保護長期計画に基づき実施された。

だが、国家海洋局は2018年に自然資源部に吸収され、当時の長期計画はすべて2020年度で終了した。新年度となる2021年4月からは新計画が必要だ。海警法が2021年1月22日に全人代でスピード採択され、2月1日に施行されたのは、明らかにその準備である。

今回、これらの長期計画は、「陸と海を統合的に計画せよ」という習近平の指示の下、陸上の国土開発計画と合体した「国土空間長期計画」として策定され、全体の取りまとめを自然資源部が担当している。本来は3月の全国人民代表大会(全人代)で採択される手順だったが、作業が間に合わなかったのか、全人代では議論のみ確認できる。

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