同じ起業をするならば、「目線」を高く持とう ラクスル・松本恭攝CEOと語る(下)

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松本:だからこそ、グローバルで見たときのベストプラクティスをどこに持っていき、それを標準として自分の動き方をどう変えていくのか――をやらなければいけないと思っています。具体的には、海外の起業家や投資家といった高い目線を持った人とのディスカッションを増やし、コミュニケーションをすること。そしてその目線を身に付けたら、実際にやってみることです。トライしていくことは必要だと思っています。

私はCEOとしての役割は、目線を上げて、挑戦のテーマをより高いところにもっていくことだと思っています。目線を上げ続けることでいろいろなチャレンジができるようになる。だからこそ、今の自分の目線をいかに変えていくか――。変化を求めて、動き続けたいと思います。

伊佐山:海外の刺激を受けるのは、WiLのテーマのひとつでもあります。私たちは、日本国内のビジネスで「ああしろ、こうしろ」と言うのは、ナンセンスだと思っています。それよりも、世界中の本物の起業家やVCと交わってもらい、刺激を受けてほしい。海外の起業家は、みんな「自分でいかに勝つか」ということで競争している。その“厳しさ”を知るだけでも感じることがある。

それはスポーツの世界を見ても明らかだと思います。野球やサッカーを見ればわかりますが、国内で盛り上がれば世界に通用するわけではなく、世界に出ることで世界に通用する実力がつく。世界で活躍する日本人が増えれば、国内も盛り上がる。

これまで日本のベンチャーはリソースが限られていたこともあり、海外進出は簡単にできなかったという背景がありますが、ラクスルは海外にも展開できるビジネスモデルで、リソースアクセスがある。ぜひ、世界に出て、活躍してほしいですね。

 一見、無駄に見える経験――。その「無用の用」を知ることは大切だ。何かと効率やスピードを重要視する社会になったからこそ、逆説的ではあるが、「無用の用」、つまりは短期的には役に立たないように思える経験が、かえって大きな意義を持つのである。その意味で、その時々で興味を持ったことに首を突っ込む。行こうと思った場所に行ってみる。直感に従う行動力はいつまでも大事にしていくべきだ。
 『シリコンバレー流世界最先端の働き方』(伊佐山元、KADOKAWA中経出版)P100参照

 

(構成:山本智之、撮影:梅谷 秀司)
 

伊佐山 元 WiL 共同創業者CEO

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いさやま げん / Gen Isayama

1973年2月、東京都生まれ。97年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に入行し、2001年よりスタンフォード大学ビジネススクールに留学。2003年より、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとして、シリコンバレーで勤務。

2013年夏より、シリコンバレー在住のまま、日本の起業家、海外ベンチャーの日本進出を支援することで、新しいイノベーションのあり方やベンチャー育成の仕組みを提供する組織を創業中。日本が起業大国になることを夢見ている。著書に『シリコンバレー流世界最先端の働き方』(KADOKAWA中経出版)がある。

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